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#ギャップ
ひより
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鷹槻れん@コノカレコミカライズ

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百はな🍑
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「……っ!」
ぼんやりとしていた意識が、急激に現実へ引き戻される。視界に映ったのは、見覚えのある神殿の天井だった。
「バイオレッタ様!? お気がつかれましたか!」
覗き込んできたのは、安堵の表情を浮かべた大神官だった。どうやら、噴水で気を失った私を、ここまで運んでくれたらしい。
「私は大丈夫よ。それより、ルピは……!?」
「きゅーっ、きゅきゅっ!」
別の神官に抱えられていたルピが、元気いっぱいに私のベッドへ飛び乗ってきた。尻尾を嬉しそうに揺らしている。
「よかった……」
私は胸を撫で下ろした。
「それにしても、ルピはどうして急に噴水へ向かったのかしら」
私の呟きに、大神官の表情が引き締まった。
「バイオレッタ様。失礼を承知で申し上げますぞ」
「なにかしら?」
「あの魔獣は……もしや、ベルシュタイン公爵閣下と禁忌魔法で繋がっているのではございませんかな?」
息が止まった。
「っ……! どうしてそれを?」
「つい先ほど、前線から搬送された閣下の治療を行いました。その際、閣下の肌に、あの魔獣の足にあるものと同じ刻印を見たのです」
「アレクが……怪我をしたの!?」
思わずベッドから身を乗り出した。
「今は奥の部屋で休まれております。重傷ですが、命に別状はございません」
「そう……」
「古い魔導書によれば、契約者の魔力が枯渇すれば、経路を共有する契約魔獣もまた、魔力不足に陥るとありますからな……」
「だからルピは、本能的に魔力を含む聖水を求めたのね……」
「公爵閣下にお会いになりますかな?」
「もちろんよ」
私はベッドから降り、アレクが眠るという神殿の奥の部屋へ急いだ。
***
重傷者用の個室。そのベッドに、アレクは横たわっていた。左肩から胸元にかけて、白い包帯が巻かれている。
私はベッドサイドへ駆け寄り、彼の冷たい手をそっと握りしめた。
「アレク……」
返事はない。けれど、指先がほんのわずかに動いた気がした。
背後に立つ大神官が、静かに告げる。
「公爵閣下は、前線で複数の自爆魔石の爆発を受け止められました。さらに禁忌魔法を維持するために、魔力を使い果たされたのでしょうな」
私はアレクの手を握る指に力を込めた。
「助ける方法は?」
「あるにはありますが……それには、バイオレッタ様の力が必要ですな」
「私?」
大神官の視線が、私に向けられる。
「あなたからは今、強い魔力の気を感じます」
「聖水に落ちたからってこと……?」
「ええ。本来、魔力を持たぬはずのあなたが、魔力を取り込み、己の身体に馴染ませている。これは古い魔導書に記された、空の器と呼ばれる体質ですな」
「空の、器……?」
「自ら魔力を生み出すことはできない。魔法として使うこともできない。けれど、外から与えられた魔力を拒まず、体内に取り込み、別の者へ受け渡すことができる。極めて珍しい体質ですぞ」
「じゃあ、私が取り込んだ魔力を、アレクに渡せるのね!?」
「理論上は可能です。……ですが」
大神官の声が、低く厳かなものに変わった。
「魔力交換は、ただ手を繋げば済むものではありません。閣下のような深刻な枯渇状態を救うには、より密接に、長く魔力を通わせる必要がありますな」
「密接に……?」
「身体を介して、直接魔力の経路を重ねるのです。本来、深い信頼で結ばれた夫婦や家族、恋人の間でしか行われませんぞ」
大神官は続ける。
「なぜなら、魔力と共に、相手の記憶や感情まで流れ込むことがあるからです」
「記憶や、感情……」
大神官の目が、眠るアレクへ向いた。
「いい記憶だけではありません。閣下が抱えてこられた過去。痛み。恐怖。怒り。それらが濁流のように押し寄せる可能性があります」
「精神が耐えきれなければ、自身が壊れる恐れもありますぞ」
沈黙が落ちた。大神官が、静かに問う。
「それでも、行いますかな?」
私は自分の指を、アレクの冷えた手に深く絡ませた。
「私は、アレクの婚約者よ」
大神官が、わずかに目を見開く。
「あの人は、何度も私を守ってくれたわ。なら今度は、私の番でしょう?」
「……後悔はしませんかな」
「するかもしれないわね」
私はアレクの寝顔を見つめた。
「怖くないと言えば、嘘になるもの。でもね――」
手を握ったまま、大神官を見上げる。
「何もしない方が、ずっと後悔するもの」
そして、アレクの手をもう一度握りしめた。
「助けるためなら、なんだってするわ」
コメント
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**第71話、読んだわ…!** バイオレッタの覚悟がめちゃくちゃかっこよかった🔥 「何もしない方が後悔する」って台詞、グッと来たな…。婚約者としてアレクを助けるために自分の精神が壊れるリスクを承知で選ぶその強さ、最高だよ。それに「空の器」って体質設定、ちゃんと伏線回収してて構成が丁寧やわ〜。 ルピが♡♡♡に飛び込んだのも、全部アレクを救うための本能的な行動だったんだなって納得。次どうなるか気になる…!