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「結婚相談所についての話に移ります。新入生の寮生のリリーナ・シアン男爵令嬢と、ポール・ナイト子爵令息の文通がかなり盛んになっています。リリーナ様に見せて頂いた手紙によると、すでに2人は結婚でもしそうなくらいの盛り上がりをみせてお互い愛を確認しあっておりました。しかし、ポール様はすでにアカデミーを卒業していて、どのように2人を引き合わせてあげれば良いかがわかりません。お知恵を拝借してもよろしいでしょうか?」
リリーナ様は、もうポール様との子供まで夢見ている。
しかし2人が会えるとしたら建国祭の舞踏会なのだが、リリーナ様はまだ社交界デビューをしていないので今年は出席しないらしい。
どこかで2人を会わせてあげたいと思ったのだ。
「そこまで、世話してあげる必要があるのか?」
私を苦しそうに愛を乞うような視線で、兄ルイスが見つめながら言ってくる。
イザベラを抱きしめたい衝動に必死に耐えているのだろう。
7年も本来の自分を見失う強制力と、この若さで戦っているなんて可哀想に思えてくる。
誰にも理解されない孤独に耐えている彼を主役にした小説を書いてみて、彼に渡してみるのも良いかも知れない。
彼の苦しみを少しでも理解しようとしている人間がいることが伝われば慰めになるだろう。
「ルイス王太子殿下、結婚相談所は人望を獲得することを裏の目的とした慈善事業に今はなっています。人望というのは1人1人に丁寧に接して、少しずつ獲得していくものなのです」
私は無償で文通を斡旋し出会いの場を提供することで、恋のキューピッドとして感謝されようと企んでいた。
「ポール・ナイト子爵は私の親戚です。最近、手紙の女の子に夢中だと聞きましたがそういうことだったのですね」
カルロスの言葉にどうやら2人が手紙のやり取りの中で両思いになっていると確信する。
「僕がシアン男爵とナイト子爵に掛け合って2人が婚約するように促してみます。派閥も同じなので、話をまとめることができると思います」
ルイ王子が私に微笑みかけながら言ってくる。
彼はなんて素敵な人なんだろう、私だけでは絶対そこまでのことはできない。
「完全にお見合いですね。結婚相談所らしくなってきました。ルイ王子、是非ともそのようにして頂けるとありがたいです。愛してます、ルイ王子」
私が感動のあまりルイ王子に愛を伝えると、少し照れたように彼が微笑んで頷いた。
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