side wki
Age 27
シャワーから上がり、ゴワゴワしたタオルで髪を拭いて、冷蔵庫にむかう。
今日は予定より少し早くレコーディングが終わったから、早めに寝よう。
そう思って水を手に取り、ソファに腰掛けると、テーブルに置いておいたスマホを手に取った。
あ。
いくつかのメッセージのなかに、
ひときわ素っ気ないやつが、入っていた。
「今から、うち来れる?」
…
いや、さっきまで一緒にいただろ。
っていうか、一緒に帰ればよかったじゃん。
なんて心の中で思いつつ
それでも、
久しぶりの元貴からの呼び出しに
胸が高鳴る。
元貴からこうやって呼び出されるのは
いつぶりだろうか。
最近は新しいアルバムのレコーディングでずっと立て込んでおり、元貴とプライベートな会話は殆ど出来ていなかった。
昔からひとつの事に集中すると俺の事なんて見えないみたいに一人 突き進んでいく元貴。
そんな元貴の目に何とか映りたくて
認められたくて努力してきた。
今はバンドメンバー以上の関係を結べているが、彼の本心は未だに分からない。
「行く」
そう短く返し、ソファに脱ぎっぱなしのパーカーを羽織ってポケットにスマホを突っ込み、
タクシーを呼ぶ。
すると直ぐに元貴からの返信。
「鍵あけておくから勝手にあけて入って」
その一言に少しだけ不安になる。
この感じは精神的に元気じゃないっぽいな。
制作に行き詰ってるか、
解散したあの後、会社側から何か言われたか……何かあったかな。
元貴の今日のスケジュールを思い出しながら
タクシーに乗り込む。
……
自宅からタクシーで15分。
キラキラと輝く景色を見ながら彼のマンションに到着すると、 部屋番号を押してチャイムを鳴らす。
すると直ぐにオートロックは解除された。
エントランスを抜け、エレベーターホールでエレベーターを待つ間に何となく髪を綺麗に直す。
……お風呂入ったばっかりですぐきたけど
髪型変じゃないかな。
幼馴染とも言える元貴。
何度顔を合わせてるか数え切れないのに
未だにドキドキするのは
彼に恋をしているからだろう。
元貴の部屋の前につき、重たい扉をあけて、言われた通りに勝手に上がり込む。
「もときー?来たよ?」
一応、大きく声をかけ、
長い廊下をリビングに向けて進むんでいく
…………
リビングも廊下も真っ暗だ。
一応廊下の電気を付けようとした
その時
急に、元貴が目の前に現れ、
腕を掴まれ、身体のバランスを崩す。
もう片方の手が、腰を掴み、強い力で引っ張られ、、、
俺は廊下の途中にある、
元貴の寝室に飲み込まれた。
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