あてにしていたものが外れて少し落胆していると、僕の後ろにある、他の部屋に続いているのであろう扉が開いた。かるてっとさんの恋人であるいちはちさんは今日兄さんと遊ぶと言っていたから誰も居ないのかと思っていたが、どうやら人が来ていたらしい。
かるてっとさんは都合の悪そうな、気まずそうな顔をしたため、来るタイミングを間違ったかと思い急いで立とうとすると、後ろから信じられない声が聞こえてきた。 それは、僕がずっと探していた愛しい恋人で、でも、ここに居るはずのない人だ。
かるてっとさんが匿っていたということなのだろう。靴のことを尋ねたときに歯切れが悪かったのも、じらいちゃんのことを気づかれないように必死だったということだ。
かるてっとさんは、じらいちゃんに向かって必死に首を振っている。
自分が居場所を伝えたわけじゃないということを伝えたいのだろうか。
実際かるてっとさんに居場所を教えられたわけでは無いので、濡れ衣を着せられては可哀想だと思い口を開く。
「かるてっとさんが僕に言ったわけじゃないですよ。むしろ昨日電話したときに居ないって言われましたし」
「じゃあなんで……」
「もしじらいちゃんがメンバーの人の家に行くとしたらかるてっとさんの家かと思って」
確証はなかったし、かるてっとさんの家というのも消去法で決めただけだったので、正直藁にも縋る思いだったのだが。
「……黙って出てきたりしてごめんなさい。連絡も、くれてるの分かっていたのに無視しちゃって……」
「それはもう過ぎたことなのでもういいです。それより、少し話し合いませんか?」
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