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第七話「結婚をやめさせる!?」
あるとき、バギーは一人、霧深い森の奥にいた。
「なんで俺様が、こんなジメジメしたところを歩いてんだ…」
とブツブツ言いながらも、彼は道に迷っていた。
薄暗い森の中、不意にかすかな泣き声が聞こえた。
「……助けて…誰か……」
バギーは最初、無視しようとしたが、その声に何か引っかかるものを感じ、足を止めた。
しばらく進むと、蔓の絡まった古びた礼拝堂のような建物が現れた。扉のすき間から中を覗くと、ウェディングドレス姿の女性が泣き崩れていた。
「おい、アンタ大丈夫か?」
声をかけると、彼女は驚いて顔をあげた。バギーはその顔を見て、思わず目を見開く。透き通るような肌と、大きな瞳、だがその表情には絶望が刻まれていた。
「た、助けて……私、アブサロムっていう男と無理やり結婚させられそうなの……」
「アブサロム? あの変態ゴリラ野郎か!?」
バギーはかっとなった。以前にもアブサロムとは因縁があったのだ。
「この俺様が通りすがりで終わるわけがねぇ! 結婚なんて、ぶっ壊してやる!」
結婚式当日――
豪華に飾られた教会。アブサロムは上機嫌だった。
「ついにこの俺が、理想の花嫁を手に入れる時が来た……!」
しかしその瞬間、教会の扉がド派手に爆破された。
煙の中から現れたのは、赤い鼻と派手なマントの――バギー。
「その結婚、待ったァァァァァ!!!」
「てめぇバギー!? なにしに来やがった!」
「その女は、嫌がってんだよ! 無理やりなんて、最低だぜアブサロム!」
「うるせぇ! お前には関係ねぇだろうが!」
ドガッ! バギーの足が炸裂し、アブサロムを吹き飛ばす。
「これは俺様の正義だ。お前みてぇなやつに女を渡してたまるか!」
そのまま教会は大混乱となり、結婚式は中止となった。
数時間後――廃墟と化した教会の片隅
アブサロムは、落ち込んでいた。
「なんでだよぉ……俺の純愛だったのに……」
バギーは、ため息をついて隣に座る。
「ま、お前が無理やりやろうとするからだ。けどな……」
彼は少しだけ柔らかい表情を見せた。
「気持ちが本物だったなら、いつかはちゃんと伝わるさ。そういうの、時間がかかるもんだぜ?」
「……お前、意外と優しいじゃねえか」
「バカ言え、慰めてるだけだ。俺様はヒーローだからな!」
アブサロムは泣き笑いし、バギーは照れ隠しに顔をそむけた。
一方、女性は――
安全な港町で、新たな人生を歩み始めていた。
彼女はバギーのことを思い出していた。
「あの人、派手だけど……すごく頼りになる人だった……」
彼女の胸には、まだバギーへの感謝の気持ちと、少しの恋心が残っていた。
その夜、バギーは船に戻ると、仲間たちに囲まれた。
「バギー船長! どこ行ってたんですか!?」
「ちょっと結婚式をぶっ壊してきたんだよ」
「えっ?」
「ま、派手にやったぜ!」
夜空の星がきらめく中、バギーは誇らしげに笑った。