テラーノベル
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岬が会社を辞めて数日後、マナトの元に岬から手紙が届いた。
それは拙い字で書かれていた。
マナトは読み始めた。
マナトさんへ
私はいつか船の上のマナトさんを見て、マナトさんのそばで人間の暮らしがしてみたいと思うようになりました。
私は新月に祈りました。
すると願いが叶って、私は人間になってマナトさんと楽しい日々を送ることが出来たのです。
それは夢のような日々でした。
しかし、現実はひたひたと足音を立てて迫っていたのです。
海豹の寿命は短いものです。
私は自分の死期が近いのを悟りました。
それでお別れをすることにしたのです。
さようなら、マナトさん。
どうか私のことを忘れないで下さい。
海野岬こと海豹より
マナトは読み終えると、胸にポッカリ穴が空いたような、虚しい気持ちになった。
岬にもっと優しくしてあげればよかった、とマナトは後悔した。
水槽の中では、何も知らないカクレクマノミが、無邪気にひれをひらひらと動かして泳いでいた。