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第十話
操られた身体
―迫り来る仲間―
『特別警報。市街地区347に化物発生。避難誘導及び討伐へ急行せよ』
警報を聞いた私たちは、急いで準備を整え、グラウンドへ集合しました。
「全員いるな! 市街地区347へ向かうぞ!」
先生の指示に従い、私たちは化物が出現した場所へ向かいます。
「……あれ?」
市街地へ到着した私たちは、上空を見上げました。
そこには――。
「なんや……あれ?」
椥辻さんが目を細めます。
空一面に、無数の白い影が浮かんでいました。
ゆらゆらと揺れながら漂う姿は、まるで巨大なクラゲのようです。
「クラゲ……?」
「空飛ぶクラゲなんて、初めて見たわねぇ♥️」
御厨くんが大剣を構えます。
「まあ、見た目が何であれ……ヤることは変わらないわね。イきましょ」
「ちょっと、御厨くん! 先に行かないで!」
私が声を掛けるより早く、御厨くんは走り出しました。
「ちょっ……!」
その後を追うように、私も駆け出します。
「早乙女さん、待って!」
皇刃くんの声が聞こえました。
けれど、その瞬間――。
「……っ!?」
足元に何かを踏んだ感触がありました。
次の瞬間。
――バチッ!!
「きゃっ!」
身体に電気が走ったような感覚が襲います。
「綺!」
椥辻さんの声。
私が顔を上げると、御厨くんもその場で動きを止めていました。
「御厨くん……?」
「……ちょ。なによ、コレ……」
御厨くんが腕を動かそうとします。
けれど――。
「……動かないわ……」
「え?」
私も身体を動かそうとします。
けれど、自分の意思とは関係なく腕が動きました。
「えっ……!?」
私の手が勝手に大刀へ伸びます。
「ちょ、ちょっと待って! 私の身体、勝手に……!」
「綺ちゃん! あたしも!」
御厨くんの大剣が振り上げられました。
「御厨くん! やめて!」
「分かってるけど、止まらないのよ!! きゃー、避けて!」
御厨くんの身体が、椥辻さんたちに向かって大剣を振り下ろします。
「っ!」
私は防御壁を展開させようとします。
ですが、身体が思うように動きません。
それどころか、勝手に大刀を振り上げ、椥辻さんたちへ向かって振り下ろしてしまいます。
――ガァンッ!!
大剣と大刀が地面を叩きつけ、地面に大きな亀裂が走りました。
「綺ちゃん!」
「大丈夫よ、御厨くん!」
声は出せる。
意識もある。
なのに――。
身体だけが、自分の言うことを聞かない。
「なんや、これ……」
椥辻さんが呆然と呟きます。
「二人とも、意識はあるん?」
「あるわよ!」
「あります!」
「せやけど、身体だけ動かされとる……?」
「そうみたい……!」
御厨くんの大剣が再び振り上げられます。
「やだぁ……あたしの腕なのに、止められなぁーい」
「ちょ、何してくれんの! 危ないやろ、七凰!」
「あたし悪くないわよ? 腕が勝手に動くのよ」
大剣が振り下ろされる。
――ガァンッ!!
「ちょ、ちょっと! うちら味方やで!?」
椥辻さんが叫びながら、私と御厨くんの攻撃を避けます。
「分かってるわよ!」
御厨くんが叫びます。
「でも身体が勝手に動くのよ!」
「……」
私は、自分と御厨くんの動きを見つめます。
武器を振り上げる。
振り下ろす。
また振り上げる。
そして――。
同じ動きを繰り返している。
「……動きが、単調?」
「そや! 同じ攻撃しかしてへん」
椥辻さんも気づいたようです。
「あら? あたしの身体……自由を奪われてるのね? 興奮しちゃう♥️」
「いや、ちゃうやろ!!」
椥辻さんが叫びます。
「とにかく、あんたらを止めなあかん!」
「ごめんなさい、椥辻さん! 私まで、こんなことに……」
椥辻さんが武器を構えます。
「二人まとめて相手するんは、さすがにしんどいで……!」
「ごめんなさいね、椿希ちゃん。わざとじゃないのよ? 決して! わざとじゃないの」
「おまえは、うちに悪意もって攻撃しとるやろ!? 綺も謝らんくてええから。自分の身体を止めて!」
「それができないの! 私の意思と関係なく攻撃しちゃってるの!」
その頃。
少し離れた場所では、皇刃くんが鞄から薬品を取り出していました。
「……身体を操るなら、何かが体内に入ってる可能性がある」
小さな瓶を並べながら、皇刃くんは呟きます。
「毒物なら、解毒薬で……」
「可威! 慌てんでええから。二人に合う薬を頼むで」
「任せて、椥辻さん!」
皇刃くんはすぐに調合を始めます。
「み、神剣くんは椥辻さんの加勢に……あれ? 神剣くん?」
「……」
神剣くんは、少し離れた場所で静かに横になっていました。
「こんな時まで寝ないでよ、神剣くん!」
「……」
返事はありません。
先生は他の班の援護に向かっています。
ここには私たちしかいないのに……!
「なんでこんな時まで……!」
その間にも、御厨くんと私の身体は止まりません。
椥辻さんが、私と御厨くんの攻撃を必死に避け続けます。
「ほんまに……二人とも、後で覚えときや!」
「だから、あたしたちの意思じゃないって!」
「いーや! 綺はともかく、七凰は絶対! 悪意あるやろ?」
椥辻さんは叫びながらも、決して私たちを傷つけようとはしませんでした。
その時――。
「……あいつらや!」
椥辻さんが空を指差します。
大量のクラゲ型の化物が、ゆらゆらと空中を漂っています。
「たぶん、あいつらが原因や!」
「じゃあ、クラゲを殲滅できたら私たちは止まる?」
「まずはクラゲを倒すで!」
椥辻さんが走り出しました。
「いっけぇぇぇ!」
手榴弾が空へ投げ込まれます。
――ドォンッ!!
爆発とともに、クラゲ型の化物が次々と消えていきます。
「やった!」
私は思わず声を上げました。
これで……。
これで、身体が戻るはず。
「……」
御厨くんの大剣が、再び振り上げられます。
「……え?」
振り下ろされる。
――ガァンッ!!
「……なんで?」
椥辻さんも、皇刃くんも動きを止めます。
空にはもう、クラゲの姿はありません。
それなのに――。
私たちの身体は、まだ止まらない。
「なんで……止まらないの!?」
コメント
1件
いやー、めっちゃハラハラしたわ! 仲間に攻撃しちゃうって展開、読んでてこっちまで焦った。クラゲ倒しても治らんとか、え、どうすんのこれ…続きが気になりすぎる🔥 操られてるのに意識あるのが逆に怖いし、神剣くん寝てるしでカオスすぎる(笑)
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