テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
150
第十一話
原因
―眠れる最強の答え―
「あかん……疲れてきたわ……はぁ、っ……」
椥辻さんが息を切らしながら、私と御厨くんの攻撃を避けています。
「ごめんなさい、椥辻さん……っ。わ、私も……っ、腕が……」
「情けないわねぇ。二人とも。あたしは、まだまだ元気よ♥️」
「おまえは、さっさと! くたばったらええねん!」
椥辻さんは御厨くんを睨みつけると、手榴弾を取り出しました。
「ちょっ、椥辻さん!?」
次の瞬間。
――ヒュッ。
「いっけぇぇぇ!」
――ドォンッ!!
爆発音が響きます。
「きゃー! ひどいわ! あたしは無実よ!」
「どこが無実やねん!!」
……あれは、本当に怒っているのでしょう。
私と御厨くんは、先ほど空を漂っていたクラゲ型の化物をすべて殲滅したにもかかわらず、未だに身体の自由が戻っていません。
同じ動きを繰り返し、椥辻さんへ攻撃を仕掛け続けています。
「……よし! できた……!」
少し離れた場所では、皇刃くんが完成した薬を手にしていました。
「この薬を飲ませたら……って、どうやって飲ませたら……」
皇刃くんが周囲を見回します。
そして――。
「あれ? 神剣くん! 起きてたの? なら、これを……神剣くん?」
「……」
神剣くんは、いつの間にか起き上がっていました。
ですが、こちらには目も向けません。
ただ、どこか一点を見つめています。
「……?」
何を見ているのでしょう。
次の瞬間。
――ブツン。
「……あら?」
身体から力が抜けました。
「私……動かせる?」
自分の腕を動かしてみます。
動きます。
ちゃんと、自分の意思で。
それは御厨くんも同じみたいです。
「コレだろ? ……原因」
「え?」
神剣くんの手には、一本のコンセントが握られていました。
「終わったなら帰ろ……眠い」
「ちょ、待てや朔夜!!」
椥辻さんが慌てて神剣くんを呼び止めます。
「どーゆー事や? わかるよーに説明しぃーや!」
「……」
神剣くんは、ものすごく面倒そうに椥辻さんを見ました。
そして――。
心底、面倒くさそうに大きなため息を吐きます。
「早乙女と御厨……コンセントのコード、踏んだだろ?」
「……え?」
「そのコードから、クラゲの電気信号が流れたんだよ。体内に入った信号で身体を操られてたの」
「……」
「クラゲを倒しても、入った信号は残ってる。だから動き続けてた」
淡々と説明すると、神剣くんは欠伸をしました。
「もういいだろ……」
「いや、よくはないやろ!!」
「眠い」
「知らんわ!」
椥辻さんの叫び声を背中に受けながら、神剣くんはコンセントを投げ捨てます。
そして、そのまま車へ向かって歩いていきました。
えーっと……。
今の神剣くんの話では――。
「……ごめんなさい」
私は小さく頭を下げました。
「私が周りをよく観察しなかったから……。ごめんなさい」
「綺ちゃんは何も悪くないわ。大丈夫よ♥️」
御厨くんが優しく声を掛けてくれます。
……ですが。
「いや、おまえが綺の言葉を無視して、特攻しよるからやろ!」
椥辻さんが即座に突っ込みました。
「それに、何こっち側にいてんの? おまえが根源やからな! 七凰!」
「あら? いいじゃないの。こうして綺ちゃんが謝ってくれたわけだし」
「どこをどう解釈したらそうなんねん!」
「さ、早く帰りましょ♥️」
「話を聞けぇぇぇ!!」
……。
確かに、今回は私の不注意だったのは事実です。
でも……。
なぜでしょう。
どうにも腑に落ちません。
「早乙女さん」
「え?」
振り返ると、皇刃くんが小さな瓶を差し出していました。
「これ、一応飲んでおいて」
「皇刃くん……これは?」
「毒抜き。神剣くんの話を聞いた限り、心配ないと思うけど……念のため」
そう言って、皇刃くんは優しく微笑みました。
「お疲れさま」
「……ありがとう、皇刃くん」
やっぱり……。
この班には、ちゃんと常識人が必要です。
私は改めて思いました。
皇刃くん。
彼だけは――。
彼だけが、唯一この班の良心です。
コメント
1件
第11話読んだよー! あのクラゲ倒しても動き続けてた謎、コンセント抜くだけで解決って……神剣くんマジで持ってるな!笑 「眠い」連発で帰ろうとするのも含めてツボったわ。 あと皇刃くんちゃんと毒抜き用意してて草。この班の良心すぎる。 てか椥辻さんのツッコミ毎回的確で好き。今回の原因は御厨くんの特攻ってオチも納得やった🔥