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〜もう少しだけ、距離を縮めて2〜
今は、月曜日の午後5時。石神家には誰もいない。長男は受験勉強の為図書館、三男はマジックの勉強、4男は科学部の部活、父は仕事中だ。そして、次男と最近加わった長女はと言うと…
公園前にて泥だらけになっているところであった。
時は朝まで遡る。
家族全員仲良く朝食を食べている最中百夜が思い出したように龍水の方へ向いた。
百夜「悪ぃ龍水!今日の千空のお迎え頼んでいいか!?あとその後保育園の近くのスーパーでトイレットペーパー買ってきてくれ!!」
龍水「フゥン、お易い御用だぜ。任せろ」
百夜「サンキュ!助かるわ!昨日買い忘れちまって…」
百夜は体の向きを龍水から小さなお姫様の方へと動かす。
百夜「つーわけだから千空!今日のお迎えは龍水だからな〜!4時くらいになると思うわ」
千空「わかった」
龍水「ハッハーッ!心配することはないぞ千空!ちゃんとお利口に出来てたらスーパーでお菓子を買ってやろう!」
幻「おっ、良かったね〜千空ちゃん!龍水ちゃん俺の分のお菓子もよろ〜」
龍水「貴様は自分で買えばいいだろう。違うか?」
羽京「幻、こういう時だけ可愛い声に変えるの辞めなよ…」
クロム「おぅ幻!みっともねぇぜ!」
幻「ドイヒーっ!!朝からみんな当たり強くない????」
これが今日の朝の1幕である。少し蔑ろにされた幻がこの後まだわぁわぁ言っていたがいつもの事なのでそこまで構わずにみんな学校、仕事、保育園へと向かった。
そして現在、龍水は千空を保育園に迎えに行ったあとスーパーへと向かった。
無事に買い物を済ませ少し時間があると思った龍水は近くの公園で千空と遊ぶことにした。
ここだ。ここまでは良かった。
平日の午後の公園は学校終わりの小学生の巣窟で、走り回る男子小学生がいっぱいいたのだ。
起こったことをザックリと説明すると、
①砂場でロケット(泥)を作る千空に男子小学生が衝突
②転んだ千空の服が泥まみれになる
③まずいと思ったのか逃げ回る男子小学生を龍水が追いかける
④その男子の友達が龍水に泥団子を投げ始める
⑤なんやかんやあって丸く収まり男子小学生3人と龍水、千空は泥だらけで巨大な泥と砂でできたロケットを完成させる
龍水「ハッハーっ!最初はどうなることかと思ったが割とできるものだな」
男子小学生①「うおーっ、すげぇ!!!」
男子小学生②「へっへーっ!俺らにかかればこんなもんよ!!!!」
男子小学生③「兄ちゃんもやるじゃん!!」
龍水「フゥン、貴様らもな!!」
千空(…いつの間にか友情芽生えてやがる…)
龍水「むっ、こんなことをやっていたら6時手前か…貴様ら!良い子は帰る時間だぜ?」
①「わかったー!また遊んでくれよ龍水!」
②「楽しかったーっ!」
③「今度はサッカーやろうぜ!」
龍水「いいだろう!また今度だな!気をつけて帰るんだぞ!」
少年3人が手を振りながら公園を去って行くのを龍水は大きく手を振り満面の笑みで見送る。その横で千空は、短時間で何故こんなにも仲良くできるのかが謎すぎると首を傾げていた。
龍水「…さて、俺たちもそろそろ帰るとしよう。羽京とクロムはそろそろ帰ってくるころだろうしな」
千空「おぅ、…百夜は何時くらいに帰ってくるんだ?」
龍水「フゥン…おそらく8時過ぎになるだろうな。今日は夕飯はいらないと言っていたしな」
千空「そうか、わかった」
龍水は今の千空の質問にふと、思うところがあった。龍水は今「羽京とクロム」の2人が帰ってくるであろうと言った。名前を挙げなかった百夜がいつ帰ってくるのか気になるのはわかる。だがこの時、幻の名前も挙げていないのだ。幻は7時にマジックの公演が終わると言っていたためまだ帰ってこない。これは昨夜、千空が寝たあとに兄弟達に幻が言ったことだ。だから千空は幻の帰宅時間を知らない。なのに千空は幻の帰宅時間を聞いてこなかった。これはまだ千空が兄弟達に心を開いていない証拠の1つなのだと思う。龍水から見て千空は賢く、とても5歳だとは思えないほどだ。賢い分早く石神家に馴染むのが合理的だとわかっているからこの千空という子は自分を隠して「自分はここに慣れた。怖くなどない。大丈夫だ。」と、周りに、自分に言い聞かせているように見える行動が多い。
龍水は孤児院に行った時、 兄や母と離れるのを寂しいとは思えど何処か納得していたことを思い出す。自分の場合は色々と特殊なのだ。千空ほどではないとは言えどそれなりに聡い子だった自覚はある。だからこそなんとなくいつか離れる時が来るのだろうなと理解していたし、いつか絶対探せば会えると信じていたから急な環境の変化や石神家にも周りに比べて一段と早く馴染んだ記憶がある。
だが千空の場合は急な両親の死。その後孤児院に行ったわけでもなく急に新しい家族だ。お前は石神千空になるのだと、言われたところで理解できないだろう。それもあって幻の帰宅時間を聞かなかったのだろうなと思う。
千空「…?龍水…?」
龍水「…!あ、あぁ、すまない少し考え事をしていた。帰ろう。今日の夜ご飯はクロム作の炒飯だ!ハッハーっ!クロムの炒飯は美味いぞ千空。まぁいつも少し焦げているがな」
そういいながら千空と手を繋ぎ、帰路に着く。少し焦ってつらつらと言葉を並べ立て捲し立ててしまったかもしれないと頭の中で小さく反省をしながら。すると足元から小さい笑い声が聞こえた。
千空「…ククッ焦げてんのかよ…っ」
どうやら千空が笑ったらしい。あまり笑う回数が多い奴ではないから少しばかり高揚したし、ホッとした。
千空「…あっ、でも先に服着替えて風呂入んねーと 」
龍水「ムッ、すっかり馴染んで忘れていたな。まぁ、このまま帰ればクロムと帰宅時間が被るはずだ。クロムが炒飯を作っている間に風呂に入ろう」
千空「ん、…あ?一緒に入るのか?」
龍水「当たり前だろう。貴様はまだ小さいからな。それに今日は百夜も居らん。兄と風呂に入ることくらい慣れておけ」
千空「…それはそうだな」
龍水「というか貴様は一人でどこまで出来るのだ?頭は洗えるのか?」
千空「…シャンプーハット付けてたら洗える」
龍水「フゥン?まだまだお子ちゃまだな!今日は兄が頭を洗ってやろう」
千空「はぁ?!嫌だわ」
龍水「ハッハーっ!」
兄妹らしい会話なのかはわからないが少し近づいたような気がする。このままどんどん兄4人と仲良くなって欲しい。でも、1番初めに心を許してもらうのはこの俺だ!と、願いに似た誓いを指を鳴らして立てるのであった。
余談
羽京「おかえり二人とも…?えっなんでそんなに汚れてるの」
龍水「ハッハーっ!少し公園で遊んでいたら盛り上がりすぎてな!」
羽京「ちょっと気をつけてよね。ほら、まだクロム帰ってきてないから早くお風呂入っちゃいな。あ、、2人別々で入った方がいいかな…?」
龍水と千空が目を合わせる。
龍水「ハッハーっ!2人で入るから大丈夫だ!」
千空「あぁ、別に問題ねぇ」
羽京「…そう?わかったよ。じゃあ千空、先にお風呂場行っておいで着替え持って行ってあげるから」
千空「わかった。ありがと…」
千空がパタパタとお風呂場に向かっていくと、羽京と龍水が目を合わせる。
羽京「随分と仲良くなったみたいだね。嫉妬しちゃうなぁ」
龍水「ハッハーっ!この間の朝抜け駆けしたやつがよく言う。俺だって千空と仲良くなってみせるぞ」
二人の間に少しピリついた空気が流れる。そのに玄関の扉を開ける音がひとつ。
クロム「ただいまーっ!ってうぉ、なんだ2人して。顔怖ぇぞ」
羽京「なんでもないよクロム。夕飯よろしくね」
龍水「気にするな。クロム、炒飯よろしく頼むぞ。千空が楽しみにしていたからな」
クロム「お、ぉう?」
そうクロムに言い残し2人は去っていく。なんだかよく分からないがクロムは気にしないことにした。
クロム「…まっ、千空が炒飯楽しみにしてくれるっつーなら頑張るっきゃねぇわな!」
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