第16話 「時には度胸と勢いを」
「……今日いきなりじゃさすがに無理かな」
京輔と美樹と鉢合わせる前に 遡(さかのぼ)る。
史花とお茶をしていた夏実だったが、用事ができたということで史花が帰ることになった。
そこでふと、京輔が今日もバイトであることを思い出したのだ。
ダメならダメでも構わない――そういう気持ちでメッセージを送ったのだが。
珍しく、返信がない。
既読もつかない。
仕事が延長しているのだろうか。
だが連絡をした手前、そのまま帰るのも気が引けたし――何より、一度会いたいと思ってしまったら、夏実はその気持ちを抑えられなくなっていた。
(……迷惑がられないといいんだけど……もしまずそうだったら、次はやめよう……)
そうこっそり誓いつつ、京輔が働くカフェに向かった。
「あ、もう終わってたんだ……」
カフェの最寄り駅から数分歩いた先で、見覚えのある姿を見つけ**********************
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