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星の英雄 ゲズとリオン

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星の英雄 ゲズとリオン

22 - 第22話 「黄昏の翼、ニ人の誓い」

2025年05月27日

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第22章:黄昏の翼、二人の誓い

ウカビルが闇に消えてから数日。

ゲズとセレナは、再び世界を巡る旅へと足を踏み出していた。


彼らが向かったのは――空と海が出会う、雲上の浮遊島“ファルナ”。

そこには、**「天空の導師」**と呼ばれる存在がいるという。



【1. 空の導師】


ファルナの頂に立つ石の寺院。

風のように軽やかな老人――導師クヴァールが二人を迎えた。


クヴァール「君たち、よほど因果を背負っておるな。

空が重く感じるのは、君たちの“決意”がまだ揺れておるからじゃ」


ゲズ「決意、か……」


導師はゲズを深く見つめ、続ける。


クヴァール「“不死”を持つ敵に勝つには、ただ力を磨くだけでは足りぬ。

真に恐れるべきは、“諦め”という名の敵じゃよ」



【2. セレナの揺らぎ】


訓練の後、夜の空の下――


セレナはひとり、崖の先に立っていた。

月の光に照らされるその横顔には、珍しく陰りがあった。


セレナ「……私、怖いの。

あのウカビルの目……自分の存在を失ってる人間の目だった」


ゲズが隣に立ち、黙って聞いていた。


セレナ「私がもし……誰かの命を奪わなきゃいけないときが来たら……

ちゃんとできるのかな……?」


ゲズ「……そんなときは、俺が隣にいる。

お前が手を汚さずに済むように、俺が全部背負ってやる」


セレナの瞳が揺れる。

彼女はそっとゲズの腕に手を重ねた。


セレナ「それじゃ意味ないのよ、ゲズ。

私だって“あなたの背中”を支えられるようになりたいの」


ゲズ「……じゃあさ、一緒に強くなろう。

強くなるって、誰かを守ることだけじゃない。

誰かに守られることを、恐れないことだって――“強さ”だ」


二人はそのまましばらく黙って空を見上げていた。



【3. 黄昏の誓い】


その夜、導師の導きで、二人は“誓いの崖”へと連れて行かれる。


そこは古代より、“英雄たちが誓いを立てた”場所。


クヴァール「言葉ではなく、心に刻むんじゃ。

君たちが本当に信じたいものを、この空に告げなさい」


沈みゆく太陽の光の中、ゲズが小さく呟いた。


ゲズ「俺はもう……目の前で誰かを失わねぇ。

セレナ、お前を守りきる。だから……」


セレナ「私も、あなたを守る。

あなたがもし、絶望に飲まれそうになったら――私が引き戻すわ。

それが、私の“生きる意味”なの」


二人の誓いは、静かに空に溶けていった。



【4. 動き出す闇】


その頃、ルシフェルは遠く離れた黒の聖堂で“儀式”を進めていた。


ルシフェル「星の英雄の意志が、またひとつ育った……

だがその芽は、私の手で“理想の花”として咲かせてあげる」


彼女のもとには、すでに新たな尖兵が整っていた。


その名は――カティナ

かつてウカビルと共に戦った“第二の英雄”にして、いまや完全なるルシフェルの忠臣。


カティナ「命令を……。私は、もう迷いません」


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