テラーノベル
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季節は少しずつ移り変わっていた。
レッスンも順調に進み、七人は以前のように笑い合う時間を取り戻していた。
……けれど、一人だけ。
かなめの心は、前とは違っていた。
⸻
(なんでこんなに気になるんだろう。)
りょうたが笑えば、つられて笑ってしまう。
体調が少し悪そうなだけで落ち着かなくなる。
ほかのメンバーと楽しそうに話している姿を見ると、胸の奥が少しだけ苦しくなる。
「……これじゃ、ただの仲間じゃない。」
かなめは気づき始めていた。
りょうたは、大切なメンバー。
でも、それだけでは言い表せない。
友達とも少し違う。
もっと特別な存在になっていた。
⸻
その気持ちに気づいてから、何日も眠れなかった。
言わなければ、今までどおりでいられる。
でも、隠し続けるのも苦しかった。
レッスン中も集中できない。
りょうたと目が合うたびに、胸が高鳴る。
(このままじゃだめだ。)
かなめはそう思った。
⸻
ある日の帰り道。
夕焼けに染まる公園。
「りょうた。」
「ん?」
「少しだけ、話せる?」
りょうたは頷いた。
ベンチに並んで座る。
しばらく沈黙が続く。
かなめは深呼吸をした。
「急にごめん。」
「どうしたの?」
かなめは拳を握りしめる。
「……ずっと言えなかったことがある。」
りょうたは静かにかなめを見つめた。
「僕は……。」
声が少し震える。
「りょうたのことが好き。」
夕方の風だけが二人の間を通り過ぎた。
かなめは続ける。
「仲間としてだけじゃなくて……特別な存在として。」
「返事を急がせたいわけじゃない。」
「ただ、このまま隠しているほうがつらかった。」
言い終えた瞬間、かなめは視線を落とした。
⸻
りょうたは何も言えなかった。
突然の言葉に、頭が真っ白になる。
何度も口を開こうとしたが、言葉が出てこない。
ようやく、小さく息をついて口を開く。
「……驚いた。」
かなめは静かに頷く。
「ごめん。」
りょうたは首を横に振った。
「謝らなくていい。」
少し考えてから、ゆっくりと言葉を選ぶ。
「かなめのことは……すごく大事に思ってる。」
「でも……今は、自分の気持ちが分からない。」
それ以上は何も言えなかった。
#原因は自分にある。
宇空#🎹,🐈⬛
34
#原因は自分にある。
バディ乃杜バディ子
26,254
りょうたは小さく「ごめん」とだけつぶやき、その場を後にした。
かなめは夕暮れの公園に一人残る。
追いかけることはしなかった。
⸻
それから数日。
二人の距離は少しだけ変わってしまった。
りょうたはかなめと二人きりになることを避けるようになった。
話しかけられれば返事はする。
笑顔も見せる。
でも、以前のように自然に隣へ行くことはなくなった。
かなめも無理に近づこうとはしなかった。
「時間が必要なんだ。」
そう自分に言い聞かせる。
⸻
ある日の休憩時間。
じゅんが小さな声で言った。
「……最近、かなめとりょうた、なんか変じゃない?」
「俺も思ってた。」
かずとが頷く。
こうさくは二人をそっと見つめる。
「前みたいに話してないね。」
たかとは腕を組みながら静かに言った。
「二人とも、お互いを避けたいわけじゃなさそうなんだけどな。」
まさやも心配そうに息をつく。
「何かあったのかな。」
六人ではなく、七人だからこそ気づく空気の変化。
誰も理由は聞かなかった。
二人とも、自分の中で答えを探している最中なのだと感じていたから。
その頃、りょうたもまた一人で考えていた。
(かなめは、大切な人。)
その気持ちは確かだった。
でも、それがどんな種類の「大切」なのか。
まだ答えは見つからないまま、時間だけが静かに流れていった。
コメント
1件
うわあ…告白、しちゃったんですね、かなめ。ずっと隠してた気持ちを言葉にした勇気、すごいと思います。りょうたが「驚いた」って言ったあとの沈黙とか、夕暮れの公園に一人残されるシーンが胸に刺さりました。仲間たちもなんとなく空気の変化に気づいてる感じ、リアルで切ないです…。続き、気になります!