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第14話「異端の共鳴」
🚀 シーン1:再戦の予兆
ジェイコブが姿を消してから、数日が経過した。
ゼインは、コンクリートのビルの屋上で、じっと夜の街を見下ろしていた。
遠くのビル群に瞬くネオンライトが、彼の黒いジャケットの裾を紫に染める。
「考え込んでんな」
ナヴィスが隣で、青い瞳を夜空に向けながら口を開いた。
彼の無造作な黒髪が風に揺れ、淡い光を反射する。
「……ジェイコブのことか?」
ゼインは小さく頷く。
「あいつ、確かに強かった。俺の《オーバーライド》を読み切った上で、カウンターを仕掛けてきた」
「それに、フラクタルを“盗む”っていう能力……やっかいだな」
ナヴィスも腕を組む。
彼の表情には、珍しく思案する色があった。
(フラクタル・スナッチ……俺の力を奪われた時の感覚、忘れられねぇ)
ゼインは拳を握りしめる。
そして、夜の静寂を破るように——
「よぉ、また会ったな」
その声とともに、銀髪の青年が屋上に姿を現した。
🚀 シーン2:ジェイコブ、再戦へ
「……ジェイコブ」
ゼインは静かに構える。
銀色の短髪に、知的な光を湛えた青い瞳。
黒のパーカーとジーンズというラフな服装にも関わらず、戦闘の隙がまるでない。
ジェイコブは、口元に薄い笑みを浮かべた。
「そんな警戒するなよ。俺はただ、続きをやりに来ただけさ」
彼は軽く指を鳴らす。
——空間が揺らぐ。
「またそれか!」
ゼインは即座に身を引くが——
「《ゼロ・ラグ》」
ジェイコブの動きが加速し、次の瞬間にはゼインの背後に立っていた。
「遅いな」
ジェイコブが手を翳す。
「《フラクタル・スナッチ》」
ゼインの体が再び硬直する。
「くそ……!」
(また奪われる……!?)
その瞬間——
「——させるかよ!!」
ナヴィスが、碧色に光る拳をジェイコブに叩き込む。
「《リバースバリア》!」
ジェイコブの攻撃が反転し、彼自身に向かう。
「おっと、なるほどね」
ジェイコブはギリギリでそれを回避し、距離を取った。
「さすが、二人がかりか」
🚀 シーン3:ゼインの反撃
ゼインは、深く息を吐いた。
(ジェイコブの動きは、フラクタルを使うと加速する……なら、)
彼は、左腕の刻印を光らせた。
「……試す価値はあるな」
「《オーバーライド》」
ゼインの手から、碧色の電撃が弾けるように放たれる。
ジェイコブの体が、一瞬だけ動きを止めた。
「——ッ!」
ゼインはその隙に間合いを詰め、ナイフを逆手に振るう。
刃が空を裂き、ジェイコブのパーカーの袖を切り裂く。
「ほぉ……やるね」
ジェイコブは笑う。
「君の《オーバーライド》、使い方を理解してきたな」
ゼインは拳を握る。
「お前のフラクタル・スナッチにも、突破口はあるってことだ」
ジェイコブは、満足そうに口元を歪めた。
「……いいね。日本の碧族、面白い」
そして、彼は再び後ろへ跳躍し、闇の中へと姿を消す。
「また会おう、ゼイン」
ゼインは、去っていく彼の背を見送る。
「……次は負けねぇ」
夜の風が、冷たく二人の間を吹き抜けた——。