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第15話「森の影、緑の牙」
🚀 シーン1:深緑の領域
ゼインとナヴィスは、夜の森の中を進んでいた。
ヴェール・バインドとの衝突を避けるため、一時的に街を離れたのだ。
「……こんな場所に隠れ里があるとはな」
ゼインは、周囲の巨大な木々を見上げた。
枝葉が空を覆い、月明かりを遮っている。
足元には静かに輝く青緑の苔が広がり、異世界のような雰囲気を醸し出していた。
「ここが噂の“自然党派”の領域か」
ナヴィスは青い瞳を細め、警戒を解かない。
無造作な黒髪の隙間から、彼の表情が険しく見えた。
「ここにいる碧族は、ちょっとクセが強いらしいぞ」
「……らしいな」
ゼインは腕を組む。
自然党派——都市を捨て、フラクタルの力で森と共に生きる碧族たち。
彼らは「人間は地球を消耗品のように扱っている」と考え、独自のルールで生きているらしい。
「まぁ、荒く使ってるのは事実だよな」
ナヴィスが呟いた瞬間——
「お前たち、何の用だ?」
鋭い声が響いた。
🚀 シーン2:緑の牙
木々の間から、数人の影が姿を現した。
彼らは自然の一部のように静かに佇み、ゼインたちを睨みつける。
その中で、一際目を引く人物がいた。
長い翠色の髪を後ろで束ね、瞳は深いエメラルドグリーン。
革製の装束を身にまとい、肩には獣の毛皮がかかっている。
彼女の指先には、淡く輝く碧色の紋様が走っていた。
「お前たち、都会の碧族か?」
彼女は腕を組み、険しい視線を向けた。
「……そうだけど」
ゼインが答えた途端、
「なら、試させてもらおう」
彼女は手を翳し、空間にフラクタルの紋様を描く。
「《ヴァイン・ストライク》」
——地面から無数の蔦が伸び、ゼインたちへと襲いかかった。
🚀 シーン3:迎撃戦
「チッ……いきなりかよ!」
ゼインは即座に後方へ跳躍し、蔦の攻撃をかわす。
ナヴィスは瞬時に空間を歪め、ゼインの位置をシフトさせた。
「《フォールトシフト》」
——ゼインと敵の位置が入れ替わる。
「なっ……!」
女が驚く間に、ゼインは素早くナイフを抜き、彼女の喉元に突きつけた。
「……終わり、だな?」
ゼインの瞳が鋭く光る。
しかし、女は動じずに笑った。
「——いや、まだだ」
彼女の足元から、新たな碧色の波紋が広がる。
「《エデン・バースト》」
次の瞬間、爆発的なエネルギーがゼインを吹き飛ばした。
「——ッ!」
ゼインは背中から地面に転がる。
「……なるほど、悪くないな」
女は満足げに頷くと、ナイフを構えるゼインを見下ろした。
「お前、名前は?」
ゼインは息を整えながら、立ち上がる。
「ゼイン……碧族になったばかりの新参者だ」
彼女は少し考えた後、ニヤリと笑った。
「いいだろう。私はリオナ、自然党派の戦闘指揮官だ」
——森の中、ゼインたちは新たな勢力と出会った。