「…も!…も!」
名前を呼ばれた気がして、黒板の方に視線を移すと、数学の教科担任が俺の方を見て激怒していた。
「桃!聞いているのか!ったく、ずっと当てているのに答えないとはどういうことだ!集中しなさい!」
すみません、と小さく答えたものの、今日一日何も授業を聞いていないので、もはや罪悪感も反省も何もなかった。
怒られたところで鐘が鳴り、みんながぞろぞろと帰っていく。
ついに、終わりの時間が来てしまったみたいだ。
恐る恐る屋上までの階段を上がり、扉を開ける。
屋上には、誰もいなかった。
誰かいますか、と声をかけても何も返事がなかったので、勘違いしていたのかと思い、登ってきた階段を降りようとしたその時だった。
後ろから誰かに背中を押され、俺は一番下まで転げ落ちた。
痛い。動けない。怖い。
同時に様々な感情が出てきて、俺は恐怖で何もできなくなった。
どうせなら殺してほしかった。屋上から突き落としてくれればよかった。
考えているうちに、目の前がだんだん白くなり、そこで俺の意識は途切れた。
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