テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠︎ロシドイ
ロシア「……なんか、体が熱いな」スープを飲み干した瞬間、胃の奥がジンと温かくなる。寒気と吐き気で散々だったはずなのに、急に血の巡りがよくなったみたいで落ち着いてきた。
ドイツ「熱でも出たか?」
ロシア「いや、そういうんじゃない。なんか…妙に安心する」
ドイツ「そうか」
ドイツは短く答えたけれど、視線は僅かに逸れていた。気づいているのか気づいていないのか。だが、俺にはもうわかっていた。スープに混ざったあの鉄っぽい匂い。それを知らないはずがない。
ロシア「……ドイツ」
ドイツ「なんだ」
ロシア「さっき、血の味がした」
ドイツの表情が、わずかに固まった。だがすぐに戻り、いつもの冷静さを装った声が返ってくる。
ドイツ「気のせいだろう」
ロシア「気のせいならいいけど」
そう言って俺は、笑ってみせた。けれど胸の奥がざわざわして落ち着かない。あの場面──ソ連時代の記憶を吐き出すほど見せられた俺が、今こうして平然と血を飲んでいる。矛盾してる。でも、不思議と嫌じゃなかった。むしろ、受け入れてしまっている。
ソファに戻り、二人で座る。テレビはつけていない。沈黙だけが流れる。
ロシア「なぁ」
ドイツ「なんだ」
ロシア「お前さ、もし俺が血を欲しがったらどうする?」
ドイツの瞳が揺れる。答えを探しているのが伝わってくる。
ドイツ「……与える」
ロシア「ははっ、即答か」
ドイツ「お前が望むなら、俺は断らない」
その言葉に、心臓が跳ねた。冗談のつもりで言ったのに、返ってきたのは真剣な答え。
ロシア「俺、怖いんだよ。カニバリズムとか、人が人を食うなんて。でも…」
ドイツ「でも?」
ロシア「お前なら、少しぐらい……って思う自分がいる」
ドイツは黙って俺を見つめた。その視線に、妙な熱が混じっているのを感じる。さっき吐いた時に見せた心配そうな目じゃない。もっと奥に潜んでいた欲のようなもの。
ロシア「……なぁ、俺は壊れてるのか?」
ドイツ「壊れてない。むしろ正常だ」
ロシア「どこがだよ」
ドイツ「本能に素直になっている。それだけだ」
ドイツが、俺の手を取った。硬く、温かい掌。その温度がじわじわと体に移る。
ロシア「……ドイツ、お前」
ドイツ「言うな。今はまだ、言葉にするな」
俺は黙った。だが心臓の音がうるさすぎて、自分でも隠しきれない。血を飲んだことで変わったのか、それとも元からあった感情が露わになっただけなのか。
ロシア「……もう遅いな」
ドイツ「あぁ、寝るか」
ロシア「うん」
寝室に案内される。ベッドは広く、一人で眠るには余裕がありすぎるほどだった。
ドイツ「ここを使え」
ロシア「お前は?」
ドイツ「ソファで寝る」
ロシア「馬鹿、家主がソファで寝るなよ。……一緒でいい」
ドイツの目が驚きに見開かれた。けれど俺はもう視線を逸らして布団に潜り込む。背中越しに感じる、ドイツの逡巡。その気配が近づいてきて、やがて隣に重みが沈む。
ロシア「……ドイツ」
ドイツ「なんだ」
ロシア「もしまた、俺が吐いたり思い出して苦しんだらさ。……そばにいてくれるか?」
ドイツ「もちろんだ」
迷いのない声。その返事に、安心して目を閉じる。
だが胸の奥では、別の感情が疼いていた。血を混ぜたスープ。ドイツの真剣な目。自分の中の矛盾。
──俺は、どこまで受け入れてしまうんだろう。
はい、話が矛盾してるところがありますね。
何を四天王。
あと、TikTokでサブ垢にカンヒュのテラーでは出てない短編を上げてるので是非見てね!
でも、暗い系のストーリーじゃなくてなんか可愛い?恋愛みたいなやつですわよ。
ではまた!