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元カレがCANDY TUNEのこと「グッピーみたい」って言っててツボった(批判じゃないです)
「……は、……っ、あ……な、か……っ」
太宰の口から漏れるのは、もはや言葉の体をなさない、熱を帯びた呼気だけだった。 中也の膝の上で、太宰は力なく首を垂れている。だが、その指先だけは、中也の黒いベストを必死に掴み、縋り付いていた。
「なんだよ。もう声も出ねえのか? 随分と、……無様なツラだな、太宰」
中也は冷たく言い放ちながらも、その瞳には暗い愉悦が灯っている。 中也の右手は、太宰の太腿の付け根を、内側から外側へ、ただゆっくりとなぞり続けていた。あと数センチ、指をずらせば、太宰が泣いて欲しがっている場所に届く。……だが、その数センチが、今の太宰にとっては世界の果てよりも遠い。
「……ぁ、……っ、……やだ、……そこ、じゃ……っ、もっと、……っ!!」
太宰が耐えかねて、自分から腰を中也の指に押し付けようとする。 刹那、中也はふい、と指を離した。
「……っあ!」
期待した衝撃が来ない。あまりの空虚さに、太宰はソファの上で激しく仰け反った。背中が弓なりに引き絞られ、包帯の隙間から浮かび上がる肋骨が、激しい呼吸に合わせて上下する。
「自分から動くなって言ったろ。……手前に、選ぶ権利はねえんだよ」
中也は太宰の細い首筋に手をかけ、ぐい、と自分の方へ引き寄せた。 そして、わざとらしく太宰の耳たぶを甘噛みし、そのまま低い、熱を孕んだ声で命じる。
「……ほら、手。……自分で、そこ、退(ど)けろ」
中也の視線が、太宰の着衣の乱れを指し示す。 太宰は屈辱と、それを上回る猛烈な渇望に、ボロボロと大粒の涙をこぼした。震える指先で、邪魔な布地を自ら退けていく。そのあまりにも無防備で、自尊心を捨て去った行為を、中也は特等席でじっくりと鑑賞していた。
「……っ、……できた、よ……、ちゅう、や……っ、だから、……おねが、い……っ」
「……上出来だ」
中也は満足げに目を細めたが、それでもまだ、決定的な一撃は与えない。 今度は太宰の両手首を片手でまとめ、頭上へ押し頂いた。自由を奪われ、完全に晒された太宰の体。中也はその胸元に顔を埋め、吸い付くように深い痕を刻み込んでいく。
「……っひ、……あ、……ぁぁぁっ!!」
太宰は狂ったように首を振り、中也の名を呼び続ける。 目の前が真っ白になり、脳が快楽の予感だけで焼き切れそうだった。 中也に愛撫され、焦らされるたびに、太宰の「個」が削り取られ、ただ中也を求めるだけの欠片に変わっていく。
「まだだ。……まだ、手前の目は『降参』してねえ」
中也の指先が、今度は太宰の太腿の裏を、羽毛のような軽さで這い上がっていく。 焦らし、焦らし、焦らし抜き――。 太宰が「早く壊してくれ」と、魂を売るような叫びを上げるまで、中也の甘い拷問は終わる気配を見せなかった。