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太宰の泣いた顔見てみたい(クソ野郎
「……あ、……ぁ、……っ、ちゅう、や……っ」
太宰の視界は、もう涙と熱でぐちゃぐちゃだった。 何度求めても、何度泣いて縋っても、中也の指先は核心を巧妙に避けていく。じりじりと焼かれるような渇き。脳の芯が痺れ、思考が真っ白なノイズで埋め尽くされる。
……もう、待てない。
「っ、……ぁ……!」
太宰は震える自分の手を、熱り立つ自身の最奥へと伸ばした。 中也がくれないのなら、自分で。その一心で、縋るように自身の熱に触れようとした――。
パチン、と乾いた音が室内に響く。
「……あ、……っ」
太宰の手首が、中也の強い握力によって、目標に届く寸前で完璧に制止された。 力なく宙に浮いた太宰の指先が、空を掴むように細かく震える。
「……誰が勝手に触っていいっつったよ、あぁ?」
中也の声は、地を這うほどに低く、ひどく愉悦に満ちていた。 太宰は弾かれたように中也を見上げた。そこにあったのは、慈悲など微塵もない、獲物を完全に支配下に置いた男の冷徹な笑みだ。
「……あ、……や……っ、中也、……離して……っ! お願い、……自分で、やるから……っ!!」
「ダメだ。……手前の体だろ? どこをどう弄って、いつ果てるか……。決めるのは俺だ。手前じゃねえ」
中也は太宰の細い両手首をまとめると、ソファの背もたれに力任せに押し付けた。 唯一の救いだった自分の手すら奪われ、太宰の心はついにポキリと音を立てて折れた。
「ふ、……え、……っ、……ぁぁ、……っ!!」
喉の奥から、情けない、子供のような泣き声が漏れ出す。 プライドも、策略も、何もかもが涙と一緒に流れ落ちていく。 ただ熱い。苦しい。中也に触れられた場所だけが火傷のように疼いて、なのに一番欲しい一撃だけが、目の前にあるのに届かない。
「……う、……ぅ、……っ、……ちゅう、や……っ、ごめんなさい、……いい子にする、……っ、だから、……おねがい……っ!!」
嗚咽を漏らしながら、太宰は力なく首を振った。 もはや「相棒」でも「好敵手」でもない。ただ中也の情けを乞うだけの、哀れな熱の塊。
中也は、泣きじゃくる太宰の額に、慈しむように自分の額をコツンと当てた。 その距離、わずか数センチ。吐息が混ざり合う。
「……『いい子にする』? ……なら、俺が許すまで、そのままの格好で待ってろ」
「……っひ、……あ……あぁ……っ!」
中也の指が、太宰の涙を一滴、舌で掬う。 極限まで焦らされ、自分の手による救済さえ禁じられた太宰は、ただ中也の支配という名の泥濘の中に、音を立てて沈んでいった。