ロッカーに腰を下ろし、華は両手で顔を覆った。
――琴音さんも、律さんのことを特別に思っているのかもしれない。
そんな考えが胸を締めつける。
嬉しかったはずの律の笑顔さえ、今は不安を呼び起こしていた。
「……私、どうしたらいいの」
小さな声が、静かな控室に溶けていく。
頬を伝う熱は、汗なのか、涙なのか分からなかった。
けれど一つだけ確かなのは――
もう律を想う気持ちを止められないということ。
こうして、華の恋心は確かな形を帯びていった。
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