テラーノベル
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爆発の衝撃が、都庁展望室の強化ガラスを木っ端微塵に砕き散らした。
超高出力のアンテナが限界を超え、蓄積された熱量が一気に噴出したのだ。
オレンジ色の火炎が夜空を焦がし、俺の視界は一瞬で白銀に染まった。
「……がはっ……!」
爆風で吹き飛ばされた俺の体は、砕けた床の上を転がり、折れた鉄骨に激突して止まった。
熱風が皮膚を焼き、吸い込む空気さえも喉を焼く。
意識の端々が情報の過負荷で千切れかけ、右腕の感覚が完全に消失していた。
「……見事ですよ、黒嵜君。自分の命を代償に、街の『意識』を買い戻すとは」
炎の揺らめく向こう側で、影山が崩れ落ちた壁に背を預けていた。
プラグから切り離された彼の身体もまた、限界を迎えている。
眼鏡は割れ、白髪混じりの頭髪が焦げているが、その瞳だけは執念深く俺を射抜いていた。
「……まだ、終わってねえ…。影山、お前を地獄に連れて行くまで……俺は止まらねえ」
俺は震える左手で、脇差を杖代わりにして立ち上がった。
足元では、都庁の火災警報器が狂ったように鳴り響いている。
階下からは、志摩や山城たちの呼ぶ声が微かに聞こえるが、爆炎の壁が俺たちを隔てていた。
『黒嵜!聞こえるか!崩落が始まる、今すぐそこを離れろ!』
志摩の通信が、火花のノイズの中で途切れる。
「……逃げろと言われて、逃げるようなタマじゃねえだろ」
俺は影山に向かって、一歩、また一歩と歩み寄る。
その時、展望室のモニターが最後の一瞬、奇妙な映像を映し出した。
そこには、これまで俺たちが戦ってきた『組織』とは異なる
さらに巨大な、国の中枢すら飲み込む「黒い影」の輪郭が描かれていた。
「……君が壊したのは、組織の末端の『回路』に過ぎない。黒嵜君、100日後の消滅は、単なる一つの街の再開発ではない。この国全体の『再起動』なのだよ」
影山が不敵に笑い、懐から一つの起爆スイッチを取り出した。
「……新宿と共に、私もここで幕を閉じましょう。だが忘れるな。残された時間は、君の命を削り続ける毒だ」
ドォォォォン!!
展望室の中央柱が爆破され、天井がゆっくりと、だが確実に崩落を始めた。
俺は崩れゆく瓦礫の隙間から、夜空へと飛び出した。
背後で都庁の最上階が崩落し、火の粉が新宿の街へと降り注ぐ。
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