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街が夏祭りの雰囲気に惑わされ
とても賑わっている
そんな街の中、私は
ラムネ1瓶だけ買って
折角着てきた浴衣の裾を少し引きずらせ
コンクリートの道が続く帰路に
カラン、コロン、と。
下駄を鳴らす
祭りの喧騒から離れて、
下駄の音に耳を澄ます。
祭りで賑わっていた場所から離れると
まるで、別世界に来てしまったのか、と錯覚する程
静かで。
ジリジリと、蒸し暑い夏の気温が
私を現実に引き戻す
ふと前を見る
石畳だ。
あゝ。ここ、神社だ。
随分遠くに来てしまったな。
カラン、と下駄を鳴らす
折角だから、と5円玉を賽銭箱に入れる
手を合わせて、祈るものなど特に無いから。
もう少しだけ。
この静かな夜を体験できますように
ラムネを持っていたな、と思い出す
ぷし、と音を立てて
ラムネが溢れてくる
涼しい風が私の横を通り過ぎる
「……やっぱりラムネは、酸っぱくて、辛くて、苦手だなあ。」
喉を焼く。
ラムネは
私を泣かすあのこにとても似ていた。