ぐるぐると回る記憶達。この少年は本当に俺なのか?
こんな悲惨な⋯。悲しみより、驚きが勝ってしまう。そして。怒り
兄を殺す理由なんて無いだろう。ただ頭がおかしくなって冷静になれなかったのが悪い
まだ実感が湧かないから第三者視点で考える事しか出来ないけど
???「おかえり。自分に腹が立っている顔だね。滑稽だよ、あははははは」
奏斗「⋯その笑い方。気持ち悪いからやめて」
???「酷いなぁ生まれた頃からこれなんだけど。」
???「お前の罪は消えない。じゃぁどうすればいいと思う?」
奏斗「……」
どうすればいい。家族全員殺して、薬で全ての記憶を消した。元の俺
記憶を消した後の3年間の幸せな記憶の俺。
元の俺は本当に俺なのか、疑いたくなる。
罪は消えない、俺の人生に強く足枷となってついてくるだろう。
兄さん。最後に人を助けてあげてねって言ってたよね、警察官になりたいって言ってたもんね
立派な警察官になって人を助けたいって言ってたよね。弱々しくなっていく兄の声が
頭に響いて離れない。ごめんなさい、ありがとうも言えない弟でごめんね。
俺、できる限り人を助けれる、兄さんみたいな人になるよ。
奏斗「手が届く人全員助ける」
人を殺しておいて、そんな事って思うかもしれないけど。
奏斗「偽善者って思われるかもしれないけど⋯!」
???「助ける?悲鳴をあげられる側のお前が?人を殺したお前が?
無力なお前が?弱虫なお前が?夢語ってんじゃねぇよ」
???「お前はメノウのおかげで生きてる事忘れんなよ。
誰かの元でしか生きてけないお前に何ができるだよ。夢語って終わる人生だってあるんだ」
???「人殺した挙句薬に甘えて⋯自殺だよ。俺」
目の前にいる俺は、さっきの好戦的な態度とは裏腹に、悲しい表情を浮かべた
確かに、此奴の言っている事は全て事実。助けるって言ったってこの異世界で
元の世界より過酷で、死ぬ事だって日常茶飯事な世界で能力も何も無い俺が
人助けなんて、笑える話。いや、力に頼るのも元の俺と同じなのかもしれない
奏斗「⋯」
でも、だからと言って言葉で解決出来るかと言われれば無理に等しいだろう
奏斗「どうすれば」
???「頼ると甘えは違うぞ。この世界は殺しなんて当たり前の世界なんだ
だからと言ってお前の罪が薄まることも、無くなることもない」
それは同感だ。俺と他のやつは違うって比べないように、生きていくんだ。
比べた結果が元の俺だから。⋯目の前にいる俺の体が薄くなっていっているような
奏斗「お前⋯」
???「もう少しでタイムリミットだ。ごめん。俺。言い過ぎたところもあったかも知れないけど
俺もお前も罪人⋯で、本当は生きてちゃダメな存在⋯なんだ。だけど生きてしまっている
だけど、これも運命。⋯この命をどう使うかはお前次第、ヒーローみたいなカッコイイ存在
なんかにならなくて良いから、1人でも多く救ってあげて⋯。って兄さん⋯言いそうだよね。へへ⋯
最後にコレ。悪用すんなよ⋯!またな」
消えていく、もう1人の俺の体。待ってくれよ、そんな急になんて!俺は手を伸ばす
さっきまで触れられた体は粉状になって、感じない風と共に行ってしまった。
奏斗「⋯なんだよ。笑い方違うじゃん」
目が覚めると、異常なほどに左目が痛い。ふと時計を見ると30分しか経っていなかった。
何か変な感触が腕に伝わってきたので、潰れそうな頭を何とかして動かした。
奏斗「メノウゥ⋯?」
メノウ「あっ⋯」
生暖かい、視界が揺らいで何をしているのかよく分からない。目を擦り右腕に注目した
奏斗「⋯?!」
赤い液体が腕に致死量ってほどほど着いている。なんだ·····これ。血??
俺の血じゃないだろうし、これはメノウの⋯?!
奏斗「め、メノウ?!怪我でもしたの?」
俺は飛び起き、メノウの体を確認した。だが何ともない
メノウ「あぁええっと⋯僕の体色々弄ってて⋯ね?口から出る赤い液体を
他者の体につけるとね!心が回復するんだよネ。だ、だからネ。」
色々アウトな発言が⋯ま、まぁいいや。心配してくれていたんだろうし⋯
奏斗「し、心配してくれてたんだよね??ごめんね」
メノウ「イイヨー!」
メノウ「左目痛いの?閉じてるけど」
奏斗「そうそう。ゴミでも入ったかな⋯」
俺は洗面所に行き、水で目を洗った。
奏斗「な、なに⋯これー!!!!!!」
俺の空色の瞳が真っ赤になってるではありませんか⋯傍からみたらただの厨二病⋯
わぁぁ恥ずいわぁ!もう1人の俺何してんの?!
メノウ「なぁぁぁにぃぃい⋯そっち行けないよーーー!」
メノウが気になっているようだ。ど、どうする。この厨二病満載な瞳を見せるか⋯
奏斗「め、メノウ⋯笑わないでね?」
メノウ「ナニヨ。目無くなったとかだったら笑えないんだけど⋯」
右目をそーっと開けた。
メノウ「マジカ…」
いやぁぁ笑われる⋯なんでこんなぁ!!
メノウ「見して」
グイッと顔を近ずけられた。近いなぁ⋯今すぐ元の目に戻したいんだけど⋯
奏斗「メノウさぁん⋯近いです⋯」
メノウ「⋯!チューしてあげようか」
奏斗「ヤメテクダサイ。初キス奪われられるのは辛い」
メノウ「ねね。服脱いで上着ね」
奏斗「寒いンですけど」
仕方なく上着を脱いだ。メノウはニコニコと笑っていてご機嫌そうだ
俺は一刻も早く治したいんだけど
メノウ「オッケー着ていいよ。体に違和感は?」
体に違和感は⋯今の所ない。と思う、少し首が痛いのは寝違えたのだろう
奏斗「無いよ~。」
メノウ「単刀直入言うと〜、おめでとう。能力開花ダヨ。
まぁ能力の種類はわかんないんだけど。赤の眼開眼してるし⋯遠距離系かな〜」
奏斗「ちょ、ちょっと待ってん?能力開花ってこんなに簡単なの????」
メノウ「んなわけ。君が特殊なだけだよ。」
メノウ「これからが楽しみだ、奏斗が能力使ってるところ見るの」
奏斗「いや、いやいやいや!俺ビームとか出すの???恥ずすぎて死ぬ⋯」
メノウは頬をプクリとさせて、少し怒り気味で話した
メノウ「カッコイイじゃん!そんな事言ってたら生きてけないよ!馬鹿!」
奏斗「馬鹿言うな!メノウの方が馬鹿!」
メノウ「馬鹿って言う方が馬鹿だもん。あほ。」
少しかわいい、「阿呆」に心を撃たれてしまった。やっぱり幼い見た目の子は何言っても可愛いな
⋯別にショタコンでもロリコンでも無いからね⋯勘違いしないでよ。
奏斗「⋯で俺の能力ってなんなの?」
メノウ「手を銃の形にしてみて。」
指示どうりに手の形を銃の形にする。
奏斗「んで?」
メノウ「バン!って言ってみ!」
奏斗「バン!」
メノウ「わぁ⋯粉々だね」
バン!っと言うと手先端部分からビーム?が出て壁を破壊してしまった
奏斗「威力⋯どうなってんの⋯。しかもほんとにビームでたし!!」
メノウ「僕当たった!フフン。馬鹿じゃないから分かっちゃうんだよね」
奏斗「はいはい〜。でビーム使った時に、この赤い眼から⋯なんかゲームとかでよく見るヤツ
出てきたんだけど⋯。こんなことも出来んのか」
メノウ「そうそーう!便利だよね!」
奏斗「⋯待ってメノウも赤い眼だよね??しかも両目⋯」
メノウ「お揃いだネ!オッドアイの方が珍しいんだよね〜。両目も珍しいけど遺伝子がほとんどだし」
メノウ「オッドアイは突然なるからネ」
奏斗「へ〜⋯じゃぁメノウの家は赤い眼を受け継いで来たんだ〜凄いね〜」
メノウ「ね〜。まぁ僕の代で終わりだろうけど」
奏斗「えっ」
メノウ「子供作る気も無いし、作れないし」
奏斗「理由を聞いても⋯?」
⋯メノウってマリオネットじゃなかったっけ。
メノウ「男性器無いもん。」
奏斗「ちょっと待ってマリオネットだよね???」
メノウ「あっ…ソーダヨ」
明らかに同様している。マリオネットでは無いのだろうか?だけどそれなら
おかしい所がある。⋯あっでも体弄ってるって言ってたなぁ⋯
男性器って⋯⋯だよね。メノウって体の色々な部分が無いんだよね⋯何かあったのだろーか
メノウ「奏斗〜背負って〜早く外出よー」