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とある雨の日。春海にとっては何気ない一日。でもそんな一日が、春海の人生を変えることになるのだった。
学校からの下校中。春海はいつもの歩道の脇を走る。今日は早く帰って、母とずっと見たいと思っていた映画を見る予定だ。
「早く家につかないかなー」
春海がそうつぶやいた、その時。
「にゃー」
薄暗い路地裏から、小さな子猫のような声がした。春海は声が聞こえた方へ行くと、一瞬その場で固まってしまった。
「何この子猫…」
そこには、傷とノミだらけで汚れている子猫と、一枚のメモ用紙のような紙が入っていた。
メモにはこう書いてあった。
『この子を拾ってください。私にはどうも1人では、この子を育てられる自信がありません。このような行為が、動物愛護法違反だという事は分かっています。それでも、私にはこの子を捨てるという選択肢しかありませんでした。』
「何、こんな勝手な理由」
すると後ろから、春海の同級生である颯馬が声をかけてきた。
「どうしたんだ、春海」
「これ、見て」
春海は、手に持っていたメモを颯馬に読ませた。
「何だよこれ…明らかに酷いじゃねーかよ。とりあえず、お前が飼ってやれば?」
「でも…」
そう。春海の家族は春海以外全員、極度の動物嫌いなのである。特に猫に関しては、家族全員が嫌っている。
「私の家族、私以外全員動物嫌いなの」
すると颯馬は、意外な事を言った。
「だったら、お前の部屋でこっそり飼えばいいじゃん」
「え!?」
「あ、聞こえなかった?お前の部屋で親に内緒で飼ったらって言ってんだよ。こいつの世話、たまには俺も手伝いに行くからさ」
「あ、そういう事、分かった。じゃあ、この子は私が飼うことにする」
こうして、春海は自分の部屋でこっそりと、1匹の子猫と過ごすことになるのだった。