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翌日の放課後。
柚希は、いつものように屋上へ向かった。
けれど足取りは少しだけ落ち着かない。昨日の言葉が、まだ胸に残っていた。
(……本当に来たりするのかな)
重い扉を開けた瞬間、視線の先に人影があった。
金網にもたれて空を仰ぐ海が、振り返って手をひらりと上げる。
「お、来たな。……やっぱり瀬戸はここだと思った」
「……どうしているの」
「昨日言ったろ? 俺も来るって」
あっけらかんとした声に、柚希は返す言葉を失う。
呆れているはずなのに、胸の奥は少しだけ温かかった。