「凸さんただいま!」
「うおっ…お、おかえり。」
学校から帰ってきたさもさんにいきなり抱きつかれた。
「…ん?さもさんそれ何?」
俺はさもさんが手に握ってる物を指差す。
「これ?これねー、友達から貰ってきた遊園地のチケット!凸さん今度行こ!」
遊園地…そういえばここ数年行ってないな。
「いいよ。」
「やった!すっごい楽しみ!」
さもさんが凄く嬉しそうな顔をする。
…というか
「…さもさん、いい加減離れて?」
「やだ」
さもさんが頬を膨らませる。
ですよね〜…
「凸さん見て!すっごい広いよ!」
土曜日、遊園地についたさもさんが目を輝かせながら声を上げた。
「凸さんどこから行く?」
「んーさもさんが行きたいとこでいいよ。」
「じゃああそこ行きたい!」
さもさんが指差した先はお化け屋敷だった。
あ〜なんか前にもこんなことあったような気がする…(諦め)
「うぎゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は叫び声を上げてさもさんの腕に抱きつく。
「わー凄い!めっちゃ凝ってる!」
「だからなんでさもさんは平気なの!」
その後も俺は叫び続けて、出口に着く頃には疲れ切っていた。
はあ…まさかまた怖い思いをするとは…
「ゴールおめでとうございます!」
スタッフさんが明るい口調で言うけど、俺は疲れててそれどころじゃなかった。
「凸さん!次行こ!」
「ああうん…」
俺は腕をさもさんに引っ張られながら、お化け屋敷をあとにしようとした。
「………お似合いですね!」
外に出るとき、スタッフさんがそう言ってた気がするけど、一体なんのことだ?
「次は凸さんが行きたいとこにしよ!」
「うーんじゃああれで」
俺が指差した先はジェットコースターだった。
「…え」
さもさんの顔が固まる。
「…さもさん怖いなら無理しなくて」
「…い、いや!大丈夫!行こう!」
…さもさん大丈夫かな。
「……………………」
全然大丈夫そうじゃなかった…さもさんめっちゃ顔真っ青…
「…さもさんだいじょ」
「大丈夫?」と聞こうとしたところでジェットコースターが下り始めた。
「うわっ!」
ちょっとびっくりして声を上げる。
さもさんを見ると、目を強く瞑っていた。
さもさん…
「…さもさん大丈夫?」
今俺はベンチに座ってさもさんに抱きつかれてるところだった。
「…ごめん、俺高所恐怖症で…」
…そういうことだったのか
「…言ってくれれば良かったのに」
「だって…」
さもさんの声は涙声になってた。
「せっかく凸さんと遊園地来れたのに…凸さんも苦手なお化け屋敷行ってくれたのに…」
「…俺はさもさんが楽しめたらそれでいいんだよ。」
「………」
「んー俺お腹空いちゃったし、お昼食べる?」
「…うん」
コメント
2件
最高です
書くのすごい上手ですね