テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
輝瀬黒(ペア画中
70
ー空舞sideー
愛楽の頼みで、今日一日海斗くんを預かることになった。
「私はねぇ、これがいいと思う」
「僕もそうだと思ってた!趣味合うね」
「だねぇ」
今は妹の澄舞と遊んでいる。海斗くんは見れば見るほど愛楽によく似てる。いや、姉弟だから当たり前だけど。雰囲気というか、立ち振る舞いが愛楽にそっくりだ。愛楽が男になったらあんな感じになるような気がする。
でも、今の愛楽は少し変な感じだ。海斗くんを預けた理由を聞いたらレヴィさんと出かけに行くと言っていた。けど、2人が海斗くんを置いて出かけるとは思えない。なにか特別な理由か、それとも。
「海斗くん、もしかして愛楽とレヴィさんは付き合ってるの?」
「ううん。付き合ってない」
「そうだよね!ありがとー」
1番避けたいことは起こってないようで安心した。なら、特別な理由が何かあったんだ。海斗くんを置いていくほど大切な理由。
「海斗くん、愛楽たちは今日何をしてるの?」
「出かけるんだって」
「どこに?」
「知らない」
「そっか」
本当に知らないのか、口裏を合わせているのかがわからない。それは海斗くんの立ち振舞いが愛楽に似てるからだ。彼女の言動も裏表のはっきりしないものだった。
考えていると、上から声が降ってきた。
「ねぇねぇ!みんなでトランプしようよー」
「奏舞、宿題は終わらせたの?」
「もっちろーん☆」
「なら、まぁいいか」
愛楽たちが帰ってきたら探りを入れてみよう。それでなにか深刻な理由だったら、僕が支えてあげなければ。
15時頃になり、愛楽たちが海斗くんを迎えに来た。愛楽の面持ちはいつもと同じ。レヴィさんも至って普通だ。
「海斗〜、ごめんね置いてっちゃって。今日一緒に寝る?」
「寝ない」
「世話になったな」
「別に、愛楽が頼ってくれるのはいいことだし」
「あーちゃん今日何してたのー?」
「用事があってねー」
はぐらかしてる。表情は一切動いてないけど、逆にそれも不自然だ。今の僕には全てが複雑に見えてしまう。
「あ、澄舞ちゃん久々〜。でっかくなったね」
「愛楽ちゃん。こんにちは」
「愛楽、母さんが愛楽の両親に挨拶したいって」
「あー…ごめん。今いないんだ」
「今じゃなくても、会える時でいいんだ」
「そっか。伝えとく」
「空舞、母さんそんなこと一言も」
「本当、ありがとね。助かった」
「また頼ってよ。澄舞も嬉しそうにしてたから」
愛楽と海斗くんが玄関を後にする。少し遅れてレヴィさんが玄関の扉を開けて、出るかと思ったら閉めて僕の耳元まで近づいた。
「何を知ってるのか知らないが、余計な口出しはしない方がいい」
「愛楽は何に巻き込まれてるんだ」
「お前たちが関わる世界じゃない。いいか?愛楽を守れるのは俺たち家族だけなんだ」
そう言って、レヴィさんは愛楽たちを追いかけて行った。
僕たちが関われない世界ってなんだ。それに、レヴィさんは愛楽の家族じゃない。なにかを僕らに隠している。なぜ隠す?考えたって仕方の無いことだけど、考えてないとやってられない。
僕は奏舞と澄舞を見た。僕が愛楽たちの隠していることを知れば、僕の家族かどうなるかもわからない。だからムリに聞き出せない。
打つ手なしだ。
コメント
1件
第39話、読み終わりました! 空舞視点だからこそ、愛楽たちの「隠してる感」がすごく伝わってきましたね。特にレヴィさんの「余計な口出しはしない方がいい」って警告、ゾクッとしました…。あの距離感の描き方、すごく好きです。空舞が家族を守ろうとしながらも、愛楽を心配してる気持ちがひしひしと伝わってきて、胸が苦しくなりました。続きがすごく気になります!