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スタジオの休憩室。昼の光が差し込む窓辺で、涼ちゃんはひとり、
ぼんやりと外を見つめていた。
指先でカップの縁をなぞりながら、
小さく息を吐く。
「……僕、何してるんだろう」
昨夜のことを思い出すたびに、胸の奥がざわつく。
何も悪いことをしたわけじゃない。
でも、どうしてこんなに落ち着かないんだろう。
「……男同士なのに……」
呟いてから、自分でその言葉に戸惑う。
若井と過ごした夜、
確かに温かかった。怖くもなかった。
むしろ、安心していた自分がいた。
それが余計に苦しかった。
自分の中の“普通”とか“正しい”とか、
そういう言葉が急に遠く感じる。
「……どうしたらいいんだろ」
誰に聞くでもなく、涼ちゃんは小さくつぶやいた。
ため息が、静かな部屋に溶けていく。
その時、ふと携帯が震えた。
画面には若井の名前。
でも、指はすぐには動かなかった。
胸の奥がまた波打つ。
――今、何を言えばいいんだろう。