テラーノベル
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翌日――
俺はジャガーやソニア達と共に、砂浜で南国の遊びを楽しんでいた。
「イヤホォォォォゥ!! 乗ってる乗ってるぜ最高の波によぉ!!」
ジャガーはサーフボードに乗って、ミニマム波でサーフィンしている。
俺はその姿に白い目を向ける。
「おいジャガー、そんなちっちゃい波で満足か?」
「馬鹿野郎、めちゃくちゃでかかっただろ!?」
「1メートルもないくらいだろ」
「いやいや、3メートルはあっただろ!? なぁソニアあったよな!?」
水着姿のソニアは写真家のように、両手の人差し指と親指でフレームをつくって波を見やる。
「んー……85センチ」
「ほらな!」
「いやいやいや! 実質3メートルはあったって!」
実質制度やめろ。
「おっ、ジャガー汚名挽回のでかい波が来たぞ」
「返上な」
俺が指差す先に、10メートル近い大波が押し寄せる。
このムカム島には巨大なクジラ型の海獣が生息しており、その海獣が浅瀬周辺を泳ぐと、このようなでかい波が発生するのである。
「待て待て! 波がでかすぎんだろ!」
「チャンスだ、行け!」
「行けじゃねぇよ! ふざけんな! 言ってなかったけど、オレあんま泳ぎ得意じゃねぇんだよ!」
日和っているジャガーの後ろから、乳バンド水着に着替えたヨハンナが駆け抜けた。
「どけどけ!」
赤色の髪を潮風になびかせ、褐色の果実を大きく揺らしながら砂浜を力強く蹴る。
「お、おい!? マジで行くのか!?」
ジャガーが目を見開くが、ヨハンナは振り返りもせず、波打ち際でサーフボードを水面に放ると、見事なフォームで飛び乗った。
次の瞬間、巨大な波が押し寄せる。
10メートル級の壁のような波。
まるで空が傾いたかのように、白い泡をまとってこちらへ迫ってくる。
「おぉぉぉぉ! あれに乗れるのか!? ヤバくねぇか!?」
ジャガーが興奮混じりに叫ぶ。
ヨハンナはサーフボードの上で体勢を整え、波の頂点へと滑り上がる。
完全に波に飲まれる直前、彼女は絶妙なタイミングでボードを傾け――
「行くぜッ!」
一気に波の斜面を滑り降りた。
「うおおおおおっ!!」
波の形に沿って疾走するヨハンナ。
大波の内側に生まれた水のトンネル、チューブライドが完成する。
赤色の髪が太陽を反射し、弾ける水しぶきの中で、彼女は疾風のごとく駆け抜ける。
水のトンネルが崩れる寸前、ヨハンナはボードの先端を少し浮かせ、ギリギリのタイミングで飛び出した。
256
瑞希 流星♟也中
372
🍎🥧アップルパイ
84
まるで神業のようなライディングだった。
「……すっげぇ!」
ジャガーが唖然とした顔で呟く。
ヨハンナは水面を駆け抜け、スムーズに減速しながら浜へと戻る。
そしてサーフボードを片手で抱え、さっぱりした顔で言い放った。
「なかなかいい波だったぜ」
水に濡れた赤髪をかき上げると、煌めく雫が砂浜に落ちる。
「カッコよすぎるだろ……姉さんと呼ばしてもらおう」
「ギャハハハ、さすが我が騎士である」
「あたしは海で生まれた女だからな!」
ヨハンナが大げさに胸を反って笑うと、その拍子にビンっと張った彼女の乳バンド水着がパンと弾けた。
その瞬間世界がスローになり、俺とジャガーは「「うぉぉぉぉぉ!?(スロー音声)」と驚く。
ソニアは間髪入れず初級土魔法サンドを詠唱。きめ細かい砂が俺とジャガーの目を襲う。
「ギャァァァ! 目が目がぁぁ!」
「余計なことすんなソニア!」
「馬鹿者、王子たるもの品性を考えろ!」
ジャガーはソニアに耳を引っ張られながら引きずられていく。
俺も目をゴシゴシしていると、ようやく視界が回復してきた。
眼の前では、ヨハンナがサーフボードを胸に当ててしゃがみ込んでいた。
「やばい、金具が吹っ飛んだ。変えの水着持ってきてくれ」
はいはい、そんなこったろうと思った。
俺は彼女にタオルだけ渡して、砂浜にあるザビーナの店で新しい水着を買いに行く。
ゲーム脳な俺は、このイベントをギャルゲでよくある好感度アップイベントみたいだなと思う。
店に飾られている水着を見ると、そこに並ぶ水着はどれもこれも、紐しかないようなセクシーすぎるデザインばかり。一応ライフセーバーっぽいボディスーツ型もあるのだが、横縞が入っていて囚人服みたいだ。他には白いレースのビキニと豹柄の極小の三角布……。
俺の頭に選択肢が表示される。
どれを買う?
囚人服型ボディースーツ←
白のレースビキニ
ヒョウ柄の極小三角布
俺ほどのエロゲマスターともなると、この全てのタイプの水着で、どのような返答が返ってくるかシミュレート出来ている。
ボディースーツ型←なんかちょっとダセぇな。まぁあんがとよ。【好感度微増】
白のレースビキニ←おっ、ありがとよ。いいセンスじゃねぇか【好感度増加】
ヒョウ柄の極小三角布←お前ふざけんなよ! わざとこれ買ってきただろ!【好感度増加なし。CG回収】
俺は迷わず、ヒョウ柄の水着を手に取った。
「はい、買ってきた」
「あんがとよ」
彼女は特に水着を見ることもせず、砂浜に設置された公衆トイレに駆け込む。数分後、更に布面積が小さくなったビキニで出てきた。
「お前ふざけんなよ、これわざとだろ!」
ヨハンナは赤面しつつ、拳を震わせる。
ヒョウ柄の極小三角ビキニに、くびれた腰には金色のボディチェーン。
陽の光を反射する煮卵のような胸と尻が眩しい。
「これしかなかった」
「嘘つけ!」
「これか囚人服みたいな縞柄のダサい奴しかなかった。どっちが良かった?」
「ん、ん~……こっち」
「堂々としてれば問題ないよ」
「そ、そうか? 自意識過剰かもしんねぇけど、皆こっち見てる気がするんだが」
いや自意識過剰ではなく、本当に砂浜中の視線がヨハンナに集中していると思う。
彼女は恥ずかしさから、俺の背中にぴったりくっつきながら歩く。
その視線の一つであるジャガーは前かがみになっていた。
そしていいセンスだと親指を上げた。
「オレはお前のことを兄弟と呼んでしまいそうだ」
なぜかジャガーの好感度が上がった。
そんな俺たちのもとへ、黒のバニーガールみたいな水着を着たママ上とナハトが、大きなバスケットを抱えてやってくる。
「みんな、お待たせ。バーベキューの準備ができたわ」
「おおっ!? めちゃくちゃいい匂いがするぜ!」
ジャガーが飛び上がるように立ち上がる。
俺たちが砂浜を見やると、そこにはすでに炭火が赤く燃え上がり、網の上で極厚の肉やシーフードがジュージューと焼かれていた。
肉汁が滴る分厚いステーキ、こんがり焼けたロブスター、ハーブで香り付けされたソーセージ、たっぷりバターを乗せたホタテ――どれも食欲をそそる逸品ばかりだ。
「さぁさぁ、食べて食べて。焼きすぎたらもったいないもの」
ママ上がトングを手に、じゅうじゅう焼ける肉を皿に盛る。
「それでは、美しき海に乾杯だ」
ソニアがグラスを掲げ、俺たちもそれに倣う。
波の音をBGMに、南国の陽気な風が吹く中、俺たちはグラスを合わせた。
「余は満足じゃ」
腹一杯になるまで食い終わって、砂浜に寝転がっていると、突然電子音が鳴る。
何かと思うと、ジャガーの持っていた長四角の機械から音が鳴っていた。
明らかにスマホなのだが、一応魔導伝達通話機という名前がついている。ギデオン国の技術で作られた、最新型の通信機である。
「もしもし、オレだが? …………本当か? んで王女は」
それと同時に、ソニアの元にも騎士の女性が走り寄る。
「姫様………で、……となりました」
「……それで、王女は?」
嫌な予感がするなと思っていると、俺のもとにも爺やが走ってくる。
「ラウル様、お話が」
「何?」
「アクアレムから声明が出て、王女であるセレーネ様が今後政治は議会に任せ、ご自身は退位なさると。実質の王政の廃止です」
「誰が国のトップになったの?」
「オクタスという、宰相を務めていた男が今後は政治を執り行うと。王女からは、混乱もあると思うが国民の生活は何も変わらないと強調されていました」
「そう言うしかないだろ。これって騎士派によるクーデターだよな」
「はい。穏便な言い方をしていますが、騎士派が王族を排除した形になります」
俺とジャガー、ソニアは顔を見合わせる。
どうやら全員話は通っているようだ。
「聞いたか?」
「ああ、あのタコ騎士が、アクアレムにクーデターを起こしたって」
「この話、どっかで聞いたことないか?」
「ガレス神聖国だな」
ソニアは間髪入れずに答える。
「確かオクタスは最後までガレスとの同盟に拘っていた」
「グローリーが革命をそそのかしたってことかよ?」
「わからない、でも可能性はある」
「オクタスは、反リガルドの筆頭的存在。奴がアクアレムの政治を握れば、恐らくリガルドとつながりがある我がトリスタン、ギデオンにも制裁を行うだろう」
「おいおい、アクアレムから流通止められるのは痛すぎるってレベルじゃないぜ」
ふざけんなよ、とジャガーは憤る。
「セレーネの安否が心配だな」
「革命というのは、王族が処刑されるまでがセットだ」
ソニアの言葉に、重い沈黙が流れる。
コメント
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やっぱりありんすさんのギャグとシリアスのバランスは天才的だわ。ヨハンナのサーフィン超カッコよかったし、水着選択でCG回収狙う主人公のエロゲ脳に笑った。でもラストのアクアレム政変で一気に空気が変わったな……。オクタスがクーデター起こしてセレーネが退位って、マジでやばい流れ。これからどうなるのか気になりすぎる🔥