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オーダーのワインが注がれて、仕方なく場つなぎに口にすると、
もうどれくらい飲んだのかわからなくもなって、急に酔いがまわってきたようにも感じられた。
「……永瀬さん、どうしましたか? ……もう、酔ってしまわれたのですか?」
ふらつく頭の中に、遠くぼんやりと政宗医師の声が聞こえた気がして、
「いえ、大丈夫ですから……」
とは答えたけれど、その後のことはもうあまりはっきりとは覚えていなかった……。
「…さん……永瀬さん……」
私を呼んでいるらしき声に、重たげな目蓋を薄っすらと開くと、
すぐ間近に、政宗医師の顔があった。
「えっ…あ…?」
その距離の近さにビクリとして、それから自分が今いるのがベッドの上だということに気づいて、
「…何っ…!?」
と、思わず声を上げた。
「……君が酔いつぶれてしまわれたんですよ。なので、私の部屋まで連れてきました。あなたの自宅はわからないので、他に休ませる場所もありませんからね……」
私の身体の上で、頭の横に両手をついて、射すくめるかのような冷えた目で見下ろしながら、その人は低く艶めいた声でそう淡々と告げた──。