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旅に出て俺達はまず、山奥にあるクシャレ村という村に向かうことにした。そこは、昔から度々水不足に見舞われていたが、数年前に「水の使者」という存在が現れたことで、それが解決したのだそう。何とも胡散臭い話である。その正体が能魔者に関わっているかは分からないが、何かしらはありそうだ。
めめ「そろそろ暗くなってきたので、野宿の準備をしましょうか。いえもんさんは薪となる枝を集めてレイラーさんは…」
レイラー「師匠、そんなことをする必要はありません。とっておきの物を持ってきました」
めめ「?」
そう言うと、レイラーは、自身の鞄から、拳ほどの大きさの何かを取りだした。それは、銀色で立方体の形をしており、オーロラらしい光が神妙な雰囲気を醸し出していた。
いえもん「なんですかそれ?」
レイラー「私が作った魔導具です!名前は…ブロックテントとでも名付けましょう。これをですね…いえもんさん、踏みつけてください」
彼女は説明しながらそれを地面に置く。え?これ踏むの?魔導具って魔法に関係する物だよな?危なさそうだからやりたくないんだけど。
レイラー「えい!」
いえもん「は!?」
レイラーが突然俺を後ろから押した。俺は反射的に右足を前に出しバランスをとろうとする。が、その足の先にさっきの魔導具があった。そのまま勢いよくそれを踏みつけてしまう。
周りが一瞬強く白色に光り目を瞑る。光が収まったのを薄目で確認し目を開けた。そこには、前に1本の廊下がのび、その右側に2つ、左側と正面に1つずつドアがあった。さらに、俺と正面のドアの間の床には、四角い白い模様が彫られていた。興味をそそられたので、床の模様を俺は一歩前に進む。
レイラー「どうですかいえもんさん」
いえもん「うわ!?」
振り返るとそこにはドアがまたさらに1つと、レイラーが立っていた。さっきまでいなかったのに…。
いえもん「ここはどこですか?」
レイラー「ブロックテントの中ですよ。まぁ、厳密にいえば少し違いますが」
いえもん「そうなんですか…。すごいですね。っていうか押さないでください」
レイラー「いや〜いえもんさん中々踏まなくてじれったかったので〜。意外とビビりなんですねw」
いえもん「ビビりじゃありません!慎重だと言ってください!」
めめさんといいレイラーさんといい…この人たち強引すぎだろ…。ためらいというものはないのか?
めめ「わぁ〜!すごいですね〜!これは空間魔法の応用ですね!なるほどなるほど」
口論が始まりそうなところでめめが現れる。
レイラー「まぁいえもんさんは慎重(笑)ということで、師匠も来ましたし、部屋を案内しましょう!まずはこっちです!ついてきてください!」
ムッとしたが、ここで言い返していたら長くなりそうなので黙り、めめとともにレイラーについていく。彼女は、廊下の正面のドアを開けた。そこには、人の背丈を軽く超える大きな禍々しい魔道具が設置されていた。その真ん中にはめられている魔石は頭より大きく、少し紫がかっているので、多少魔力が入っていることがわかった。大きな魔石の他にも、指でつまめるほどの小さな魔石がいくつもはめられていた。
レイラー「『魔力供給の間』です。ここに魔力をためることで、新しい部屋をつくったり、ブロックテントを維持できたりします」
レイラー「私一人の魔力では足りないので、師匠、お願いできますか?」
めめ「分かりました。丁度魔力が溜まっていたところだったので、いい機会です」
レイラー「ありがとうございます!それでは、この小さな魔石に魔力を込めてください」
めめが前に出て一つの魔石に触れると、大きな魔石が徐々に濃い紺色に染まっていった。
めめ「これくらいですかね」
そう言って俺の隣に戻る。
レイラー「ありがとうございます。やっぱり師匠は魔力が多いですね」
めめ「…そうですね」
めめがこっそり唇を噛んだのが分かった。その表情は髪に隠されて見えない。レイラーは魔道具の方を見ており、彼女の後ろにいるめめの様子に気づいていなさそうだった。
レイラー「次は、それぞれの部屋ですね。さっきの廊下に戻りましょう」
俺達は魔力供給の間から出て、廊下に白い模様が書かれた場所に立つ。
レイラー「足踏みを2回してください」
めめが言われた通りにする。俺もレイラーに続き床をドンドン、と叩く。そう、俺は慎重なのだ。すると、床の白い部分が光る。
さっきの場所から変わり、廊下がなく四方がそれぞれドアに囲まれた場所に飛ばされる。普通なら驚くところだが、さっき似たようなことを体験したので、特に驚きはしなかった。
レイラー「さっきのは、足踏みした回数と同じ数の階に行く魔法陣です。なのでここは二階ですね。このドアはそれぞれの個室につながっています。後で部屋決めしましょう」
レイラー「また3回足踏みしてください」
足踏みすると、今度は三方が本棚に囲まれ、空いている一方に椅子と机が置かれた場所に飛ばされる。スッキリしつつも綺麗にまとめられていて、貴族の図書室はこんな感じなのかと想像してしまう。
レイラー「最上階の図書室ですね。重要な魔導書や資料を持ってきました。調べ物をするときに使ってください。」
それから俺達は一階に戻り、トイレやリビング、洗面所と風呂場を巡り、部屋決めをした。それぞれ入浴し、食事をとって個室に戻る。
ガチャッ
俺の部屋のドアを開けると、ベッドと収納棚、簡易的な机と椅子が置かれていた。旅の荷物を適当な所に置くと、俺はすぐにベッドに倒れ込む。疲れていたのか、俺はすぐ意識を失った。
ここまでです!なんか平和な雰囲気が続きすぎていますね…。次から戦闘要素いれます!
今回の補足です。魔石は、魔力を蓄えていないと透明で、魔力を蓄えていると、その量に応じて色が付きます。また、魔力には、それぞれの人や生き物の色があります。今回だとレイラーさんは紫で、めめさんは紺色です。
後は、ブロックテントの間取り図ですね。実は、このシリーズの資料集を作りたいと思っているので、近々そっちに載せます!
それじゃあ今日はこの辺で!また来てね!