テラーノベル
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惑星ほどある夕焼けが赤く眩しい太陽を背に、加速しながら竜馬はあの場にジャスティンを置き去りにした満足感に浸っていた
風に髪をなびかせて、ホールストリートの本通りを飛び出し、今見たものを脳裏から叩き出したかった、信号待ちでバックミラーを覗くと後方からオープンカーの青のコンバーチブルが猛烈なスピードで近づいてくる、ハンドルを握っているのは もちろん黒いサングラスをかけたジャスティンだ
竜馬はイラつき、本通りを最速で飛ばすとジャスティンのコンバーチブルがぴったりとその後に続く、竜馬が車体を寝かせてカーブを切ると、のろのろ走る他のセダンを追い越した、ジャスティンもこれに倣った
信号が黄色に変わった、竜馬はアクセルをフルに回して一気に通り過ぎた、コンバーチブルは間に合わず、信号は完全に赤に変わっていた、しかしジャスティンは竜馬を追いかけて強引に交差点に突っ込んできた
「キキーーーーーーーッ!!」
「パパパパパッーーーーパー!!」
交差点でクラクションが鳴り響いた、左右からの二台の車が危うく急ブレーキをかけて、左右に車体を振って停止し、ギリギリ暴走するコンバーチブルの脇をかすめた
それでも竜馬しか見えていないジャスティンは、まるでブレーキを踏もうとしない、激しくクラクションがあちこちで鳴り響く交差点をすり抜け、竜馬を絶対見失わないとばかりにひたすら後を追う
竜馬はそれをミラー越しに見てゾッとした、やがて呆れて首をふりながら減速し、バイクを縁石沿いに寄せた、ジャスティンもブレーキをかけ、勢い余って横滑りしながらハーレーの後ろに停止した
竜馬はバイクから降りて今にも食ってかかろうとジャスティンの車に大股で歩いて行った、一方ジャスティンは傍らを走り過ぎる他の車には目もくれず、ドアも開けずにコンバーチブルから飛び降りると、運転席にサングラスを叩きつけて竜馬に歩み寄った
「お前より俺の方がよっぽど度胸があるようだな!!」
ジャスティンは髪をかきあげながら挑発するように言った
「何考えてんだっジャスティン!! あんな無謀な運転をするなんて!」
竜馬も張り合うように言葉を返した
「言いかけた言葉を最後まで言いに来たんだ!アイツとは何でもない!今日初めて会ったし、ただのセックスフレンドだ! 」
そこでちょっと間を置いてから言った
「でも・・・試してみたけど できなかった 」
竜馬は目を見開き唖然とした
―セックスフレンド? できなかった?―
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ジャスティンは深呼吸したが表情は厳しいままだった、こんな風に自分の気持ちを伝えるのは胸が痛んだ
今まで何度も練習を重ね、どう竜馬に伝えたらいいか悩み、考えあぐねた日々が一瞬で無駄になった
そこでもう話を簡潔にまとめようとした、ジャスティンは警戒心でいっぱいの竜馬の黒い瞳をしっかり見つめて言った
「俺が惚れてるのはお前だ・・・ 竜馬・・・・ 」
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竜馬は自分が頭から地面にハンマーで 打ち付けられたかのように身体がめり込んだのではないかと思った、それぐらいまさにショックとしか言いようがなった
―ジャスティンが?あの女性に百戦錬磨のジャスティンが?僕のことを?―
しかし長い付き合いの竜馬には、彼の濃くなったロイヤルブルーの彼の瞳が『これは嘘ではない』と語っている
赤い夕陽に染められて、ジャスティンの金髪が白色に変わってなびいている
「い・・・いったい・・・ いつから・・・」
「お前がピッドブルに噛まれそうになったのを見た三分後から」
「で・・・でも君は・・・女の子と・・・」
「ああ・・・今まではまったく問題なかった、でも今は違う」
竜馬はじっとその場に佇み・・・頭の中が混乱するに任せた
緊迫した空気が漂う、ジャスティンがゆっくりと歩み寄った、竜馬の体がこわばった二人は永遠とも思われるほどのあいだ見つめ合った、やがて竜馬が嫌悪を露に言った
「おっ!・・・おかしいよ!!男が男となんて!そんな・・・そんな風に男を「使う」なんて!!汚らわしいっ!」
竜馬は身振りで拒絶を示した、ジャスティンの頭に一気に血が上った
「男が男を愛せないとでもいうのか?それなら俺は男女がもっと卑しい事をしている所を見たことがあるぞ? それは構わないのか?え? 」
そう言ったジャスティンは、自分がとてつもなく 腹を立てていることに気づいた、傷ついているとも言っていいだろう、バンッと車のボンネットに竜馬を仰向けに倒して、両手首を頭の上に押さえて覆いかぶさった
「放せよ!!」
東洋人の目が怒りに真っ黒に燃えている
「教えてやるよ・・・竜馬、男がどんなふうに男を愛せるか・・・ 」
あまりにも声に怒りをにじませているので、出てきた言葉は低い囁きでしかなかった
「放せったら!」
力ではジャスティンにかなわない、何とかジャスティンから逃れようと必死に身体を捻ったり、弾き飛ばそうをしているが、ジャスティンはびくともしない
「お前は愛をなんだと思っているんだ? 女に惹かれる男だけに許されたものだというのか?」
竜馬は顔を真っ赤にして、何とかジャスティンの拘束から逃れようとしている
「ならば教えてやるよ・・・竜馬、お前をベッドに連れて行って悲鳴を上げさせることなんか、いくらでも出来るんだぜ」
次の瞬間、ジャスティンの腹に衝撃が走った、そして気が付いたら道路に仰向けに倒れていた、竜馬に渾身の力で腹を蹴られて ジャスティンは吹っ飛んだ
息が出来なかった、みぞおちに蹴りが綺麗にヒットして溺れかけた人のように口をパクパクさせた
竜馬の蹴りはジャスティンのみぞおちの急所にクリーンヒットした、地面に腹を押さえて丸くなり、つばを何回か吐いて なんとか息が出来るようになった
ジャスティンは何度もゴホゴホ言って、ハァハァ息を吸った、くそっ・・・竜馬に不意打ちをかまされて視界がかすむ
「日本にいた頃!!!」
竜馬が叫んだ
「とても好きな娘がいたっっ!!」
視界が晴れ、見上げると怒りに髪を逆立てた竜馬が涙目でジャスティンを睨んでいた
「よく聞けっっ!! 僕は彼女の傍にいるのがとても幸せだった!」
一気に戦闘意欲が失せたジャスティンは、地面に座り直して竜馬を見あげた、真っ赤になってこぶしを握り締めて仁王立ちし、全身怒りに震えている竜馬が叫ぶ
「彼女をこの命よりも愛していたし、男として逞しく彼女を守ることで人間としての尊厳を保てたんだっっ! 」
口に出したことで 竜馬の脳裏に彼女が一気に溢れかえった、笑った顔・・・・ 泣いた顔・・・・ 鼻にシワを寄せてこっちを睨んでいる顔・・・どれもこれも可愛くてたまらなかった、彼女の声が心の底から聞こえる・・・・ これをどうして忘れることができよう
「彼女のことを想い! 彼女の幸せを願った!!! 毎日!毎日!毎日!毎日! 今!この瞬間さえもっっ」
―大きいお兄ちゃん―
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「彼女の嫌がることなんか絶対に出来なかった! こんな風に力づくで言う事を聞かせようとするなんて! 人を馬鹿にするのもいい加減にしろッ! 」
―大きいお兄ちゃん―
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怒りを絞り出すかのように言葉を一言ずつジャスティンに向ける、悔しくて泣けてくる、どうして自分はこんな所にいるのだろう、どうしてこうなってしまったんだろう
「竜馬・・・・ 」
「愛は神からの贈り物だ!自然と心に湧いてくるものだ!君のは愛じゃないっっ!」
竜馬がくやし涙を一粒流した
「自分の思うようにしたいだけの・・・ただの支配だ・・・・ 」
ガクリとジャスティンが肩を落とした
竜馬は踵を返してそのままハーレーに乗って行ってしまった
ジャスティンはこの時悟った、何もかも自分が壊してしまった
自分の横で美しい身体を横たえ・・・無防備に眠る少年を
もうこれで二度と見ることが出来なくなったと・・・
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コメント
1件
うわ、第161話、めちゃくちゃ熱かったですね…! ジャスティンの告白シーン、まさか竜馬があそこまで拒絶するとは思わなくて、心臓がギュッと締め付けられました。特に「愛は神からの贈り物だ」っていう竜馬の叫びが痛くて、二人のすれ違いに切なくなった…。次どうなるのか、気になって仕方ないです!
𝒩𝑜𝒶 𑁍𓏸𓈒
151
シャルル・アント
64
汐梨
71
321