放課後、水族館にて__
「やっぱり鮫って最高だよね!」
こさめがガラス越しに泳ぐホホジロザメを見ながら、目を輝かせている。
その横でなつは、水槽の反射に映るこさめの横顔だけを見ていた。
「……俺、お前に見られてるときだけ、生きてる感じする」
ぽつり、と落とされたその言葉に、こさめの目がまんまるになる。
「なっ……つ……//!?」
「お前が笑ってるときだけ、俺、呼吸できる気がするんだよ」
そう言って、なつは水槽の青に照らされながら、こさめの頬にそっと手を添えた。
そして、誰にも聞こえないくらいの声で囁く。
「泳げない鮫でも、生きてていいって思わせてくれたのは、お前だけだよ」
こさめの目に涙が浮かぶ。
「……うわぁ/……こさめ、今の録音したかった……っ!」
なつは小さく笑った。
「バカ。言ってほしかったら、何度でも言ってやるよ」
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