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嘘つきな君へ

6 - 第6話

♥

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2022年03月20日

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R15です



〜riho side〜


「でも、結局旦那さんの事愛してるんだよね。」

「西、」

「そろそろ帰るね」

「ねぇ、待って」

「またすぐ会おうね、飲み行こ」

「西待って」


嫌だ、いやだ。

なんで、どうして嘘をつくの。


「りほ、泣かないでよ」

「ねぇ、やだ、西、やだ、お願い」

「、、、」


ごめんね、今からあなたを困らせる。


「うちね、西は幸せなんだって勝手に思ってた。旦那さんの事もちゃんと愛してて、愛されてて。だから我慢したの、自分の気持ちなんてどうでも良かったの、西が幸せならそれで良かったのに、」

「気持ちって、?」

「それは、、」

「教えて?」


あまりに食い下がってくるものだから、さっきまで全て伝えようと思っていたのに、急に心細くなってしまう。

大丈夫、きっと西は何を言っても受け止めてくれる。

自分を落ち着かせるように息を吐いて、しっかりと目を合わせる。


「言う前に、一つだけ約束して」

「うん、わかった」

「明日になったら、ちゃんといつも通りに戻ってね。」


私の言葉をゆっくり噛んで、飲み込むぐらいの時間をかけて、わかった、と返事が返ってきた。


伝えたら、きっと元通りにはならないよね。



「西のこと、好きになっちゃった。」

「それは、どういう意味?」

「わかってるくせに」

「、、うん、分かってる、けど」

「気持ち悪いよね」


私の言葉に、西はぶんぶんと首を横に振った。


「そんなわけない、ほんとに嬉しいよ。だって、」

「、、、」

「私も、りほの事好きだったんだよ」


嘘には聞こえないその言葉に、自分の目がまんまるになるのが分かる。

訳もわからず胸の奥が苦しくなって、涙が出てきて、手を伸ばすと西が優しく抱き寄せてくれた。


切ないのと、嬉しいので、いっぱいになる。


もっと早く気付いていれば、気持ちを伝えていれば、もう遅いのに。


「りほ、ごめんね、苦しかったね」

「ねぇ、西」


私の背中に回された西の左手を取って、中指に手をかける、愛する人と結ばれた印を、そっと外した。


指輪を机の上に優しく置いて、もう一度西と目を合わせる。


「西、もういっかい、もういっかいだけ、好きって言って。」

「言ったって、苦しくなるだけでしょ」

「いいよ、いいから、おねがい」

「、、好きだよ、りほ、すき」

「うん、うちも、好きだよ、ずっと」


とうとう泣き出した西の頭を、今度は私から抱き寄せて、ごめんね、ごめんね、と戯言のように繰り返す。

そろそろ、この幸せで切ない時間に区切りをつけなきゃ。

机に置いた指輪を手に取って、西の指にはめようとすると、待って、と西の声。

私の手から指輪を取り上げて再び机の上に置き直した。


「りほ、やだ、まだ帰りたくない」

「でも、もう遅いし」

「怒られてもいいから、まだ、、まだ、」


その言葉の先が、中々出てこない。

わかったよ、元々帰ろうとするのを止めたのは私の方だもんね。


「りほ、あのさ」

「なぁに?」

「キス、して?」


唐突にそんなことを言われて、思わず変な声が漏れる。

西の目はまっすぐ私を捉えていて、何かを見透かされたような気分になる。


少し色っぽい、初めて見た表情。吸い寄せられるように、唇が重なる。

啄むように口を付けては、離して、今度は軽く噛んでみたり。

中途半端に触れてしまったからか、もっともっと、と求めてしまう。

断られるのを分かっていながら、西に問いかける。


「西、今日だけ、うちのものになってよ。」

「いいよ。」


自分で聞いておきながら信じられなくて、ほんとに?と聞き直すと、西は首を縦に振った。


「すきだよ、りほ」


柔らかい声に、胸の奥が締め付けられる。


「キスしていい?」


言いながら、お互いの指をいっぽんいっぽん絡めて、再び唇を重ねる。

さっきよりも、ちょっと深いキス。


「ん、、、ふ、っ、、」


初めて聞いた声。その声で完全にスイッチが入ってしまったから、そのまま抱き上げてベッドに向かった。


ベッドに西を組み敷いて、再び深く口付けを交わす。

声が漏れる度舌が奥に引っ込んでしまうから、歯の裏を刺激したり、唇を噛んだり、西の全部を確かめるように。


「舌、だして、」

「はずかしぃ、」

「恥ずかしくないよ、ほら、べーってして」


促すと、西は素直に言う事を聞いてくれた。

いい子、上手だね。

ぎゅっと目を瞑って私のキスを待っているのが可愛らしい。


息継ぎをしながら、何度も西の口内を犯す。

愛してはいけない相手と、何度も愛を確かめ合うように。


お腹の下の方が、徐々に熱くなるのを感じる。


「つづき、してもいい?」

「いいよ、、気持ちよくしてね、」

「かわい、西、すきだよ」

「さっきからそればっかり笑」

「だって今日しか言えないからさ」

「そうだね、じゃあいっぱい言って」

「うん、西もね」

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