R15です
〜riho side〜
「でも、結局旦那さんの事愛してるんだよね。」
「西、」
「そろそろ帰るね」
「ねぇ、待って」
「またすぐ会おうね、飲み行こ」
「西待って」
嫌だ、いやだ。
なんで、どうして嘘をつくの。
「りほ、泣かないでよ」
「ねぇ、やだ、西、やだ、お願い」
「、、、」
ごめんね、今からあなたを困らせる。
「うちね、西は幸せなんだって勝手に思ってた。旦那さんの事もちゃんと愛してて、愛されてて。だから我慢したの、自分の気持ちなんてどうでも良かったの、西が幸せならそれで良かったのに、」
「気持ちって、?」
「それは、、」
「教えて?」
あまりに食い下がってくるものだから、さっきまで全て伝えようと思っていたのに、急に心細くなってしまう。
大丈夫、きっと西は何を言っても受け止めてくれる。
自分を落ち着かせるように息を吐いて、しっかりと目を合わせる。
「言う前に、一つだけ約束して」
「うん、わかった」
「明日になったら、ちゃんといつも通りに戻ってね。」
私の言葉をゆっくり噛んで、飲み込むぐらいの時間をかけて、わかった、と返事が返ってきた。
伝えたら、きっと元通りにはならないよね。
「西のこと、好きになっちゃった。」
「それは、どういう意味?」
「わかってるくせに」
「、、うん、分かってる、けど」
「気持ち悪いよね」
私の言葉に、西はぶんぶんと首を横に振った。
「そんなわけない、ほんとに嬉しいよ。だって、」
「、、、」
「私も、りほの事好きだったんだよ」
嘘には聞こえないその言葉に、自分の目がまんまるになるのが分かる。
訳もわからず胸の奥が苦しくなって、涙が出てきて、手を伸ばすと西が優しく抱き寄せてくれた。
切ないのと、嬉しいので、いっぱいになる。
もっと早く気付いていれば、気持ちを伝えていれば、もう遅いのに。
「りほ、ごめんね、苦しかったね」
「ねぇ、西」
私の背中に回された西の左手を取って、中指に手をかける、愛する人と結ばれた印を、そっと外した。
指輪を机の上に優しく置いて、もう一度西と目を合わせる。
「西、もういっかい、もういっかいだけ、好きって言って。」
「言ったって、苦しくなるだけでしょ」
「いいよ、いいから、おねがい」
「、、好きだよ、りほ、すき」
「うん、うちも、好きだよ、ずっと」
とうとう泣き出した西の頭を、今度は私から抱き寄せて、ごめんね、ごめんね、と戯言のように繰り返す。
そろそろ、この幸せで切ない時間に区切りをつけなきゃ。
机に置いた指輪を手に取って、西の指にはめようとすると、待って、と西の声。
私の手から指輪を取り上げて再び机の上に置き直した。
「りほ、やだ、まだ帰りたくない」
「でも、もう遅いし」
「怒られてもいいから、まだ、、まだ、」
その言葉の先が、中々出てこない。
わかったよ、元々帰ろうとするのを止めたのは私の方だもんね。
「りほ、あのさ」
「なぁに?」
「キス、して?」
唐突にそんなことを言われて、思わず変な声が漏れる。
西の目はまっすぐ私を捉えていて、何かを見透かされたような気分になる。
少し色っぽい、初めて見た表情。吸い寄せられるように、唇が重なる。
啄むように口を付けては、離して、今度は軽く噛んでみたり。
中途半端に触れてしまったからか、もっともっと、と求めてしまう。
断られるのを分かっていながら、西に問いかける。
「西、今日だけ、うちのものになってよ。」
「いいよ。」
自分で聞いておきながら信じられなくて、ほんとに?と聞き直すと、西は首を縦に振った。
「すきだよ、りほ」
柔らかい声に、胸の奥が締め付けられる。
「キスしていい?」
言いながら、お互いの指をいっぽんいっぽん絡めて、再び唇を重ねる。
さっきよりも、ちょっと深いキス。
「ん、、、ふ、っ、、」
初めて聞いた声。その声で完全にスイッチが入ってしまったから、そのまま抱き上げてベッドに向かった。
ベッドに西を組み敷いて、再び深く口付けを交わす。
声が漏れる度舌が奥に引っ込んでしまうから、歯の裏を刺激したり、唇を噛んだり、西の全部を確かめるように。
「舌、だして、」
「はずかしぃ、」
「恥ずかしくないよ、ほら、べーってして」
促すと、西は素直に言う事を聞いてくれた。
いい子、上手だね。
ぎゅっと目を瞑って私のキスを待っているのが可愛らしい。
息継ぎをしながら、何度も西の口内を犯す。
愛してはいけない相手と、何度も愛を確かめ合うように。
お腹の下の方が、徐々に熱くなるのを感じる。
「つづき、してもいい?」
「いいよ、、気持ちよくしてね、」
「かわい、西、すきだよ」
「さっきからそればっかり笑」
「だって今日しか言えないからさ」
「そうだね、じゃあいっぱい言って」
「うん、西もね」
コメント
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にこりほ最高ですぅ!卍この2人が安定!!続き楽しみです!