コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
圖阿です!
前回からの続きです!
どうぞ!
・・・
💎side
悠佑さんに貸してもらった服を着て、僕は彼と町に買い物に出かけた。
誰かとこうして隣で歩くのは久しぶりで少し違和感があった。
僕が暮らすのに必要な日用品を買い揃えた時に、自身がお金を持っていないことを思い出し、正直に彼に言った。
……怒られるかなぁ……?
彼は……僕を殴るだろうか……。
声が震えたのが自分でもわかった。
けれど彼は予想に反して「気にするな」そう言った。
不思議だった。
始めて会ったときから、酔っ払っていて正常な判断ができなかったにしろ、なぜ、見ず知らずの僕を助けてくれるのか。
なぜ、こんな風に温かく接してくれるのか。
全てが分からなかった。
けれど、それを聞く勇気は僕には持ち合わせていない。
もし、彼の気に障るようなことを言って、殴られるだけなら構わない。
別になんともないから。
けれど、出て行けと言われたらどうしよう。
死ぬ勇気のない僕には居場所がない。
だから僕は彼の気に障るようなことをしてはいけない。
そう思って生活しだしてから5日が経った。
彼にはまだ、出ていけや家に帰れと言われていない。
彼はサラリーマンのようで、毎朝早くから出かける。
その間僕は一人でこの家にいるため、ここにいさせてもらえるように、家事をやっている。
💎「……………………」
掃除と洗濯は終わったから…………後は夕飯を作るだけ…
………。
家事にも慣れてきて、ミスもなくなった。
初めの頃、お皿を割ってしまった時、殴られる覚悟だった。
けれど、悠佑さんは「大丈夫か?危ないから近づくなよ?俺が片しとくから」そう言っただけだった。
💎「………なんで……何もしないんだろう……?」
ずっと抱えてきた疑問……彼の気に障るようなことをしないようにと、聞いてこなかったことだがどうしてもその理由を知りたいと最近思うようになった。
けれど、死ぬ勇気のない僕にそんなことを聞けるだけの勇気はない。
だから、聞かないつもりだった。
それなのに…
💎「………なんで……殴らないんですか…?」
そう、言ってしまった。
気づいた時にはもう遅くて、夕飯を食べようとしていた手を止め、目を見開いて驚いている悠佑さんが目の前にいた。
💎「…ッ……あ、あのごめんなさい…ッッ…!!」
🦁「……………」
彼は無言だった。
出て行けと言われないようにそう心で願いながら、彼の言葉を待った。
🦁「………なんで…そんなこと聞いたん?」
待っていた言葉は予想とは裏腹に心の底からの疑問だった。
💎「……えっと……ッ…」
🦁「ゆっくりでええから教えてくれんか…?」
💎「…ぼ、僕は今まで何か失敗をしたり、相手の気に障るようなことをしたら殴られてきた…ので…ッ…なんで…悠佑さんは何もしないのか…不思議で…ッ…ごめんなさいッ…!」
🦁「……謝ることあらへんよ♪」
🦁「教えてくれてありがとうな」
🦁「…俺がほとけを殴らん理由はそんなことをする必要がないからや」
💎「……必要が……ない…?」
🦁「ほんまは俺から切り出すつもりはなかったんやけど……単刀直入に言う……ほとけ…お前学校でいじめに遭っとるんとちゃうか?」
💎「……………」
🦁「それは肯定ってことで捉えるぞ」
🦁「……お前が失敗とかをすると殴られたり、相手の気に障ることをして殴られたり……そんなんはやっちゃあかんことや」
🦁「どんなにムカついたとしても、殴るのは絶対にしちゃあかん」
🦁「言われたことないか?…相手を傷つけることはしちゃいけませんって」
💎「……あります……けど…誰も助けてくれなくて……だからそれが当たり前なのかって…」
………あれ…?助けてくれなかった…?
なんで……僕はあの行為なんてどうでもいいと思ってたのに…。
どうして今になって助けてもらえなかったって……言ったんだ…?
🦁「ほとけ……そんなもんをあたりまえやと絶対に思っちゃあかん…ッッ!!」
そう言って、少し強めに僕の両肩に手を置く彼。
🦁「……ほとけ…お前の親はいじめのこと知っとるんか…?」
💎「………知りません。……というよりも……僕のことをなんとも思っていないので…」
🦁「………ッ…!」
そう言うと、彼は何かを確信したような顔をした。
………きっと……虐待のことも考えていたんだろうな…。
🦁「……ほとけ……きっと言いたくないかもしれん」
🦁「それでも少しでいい……俺に今まで何があったんか話してくれんか…?」
🦁「話せば…少しでも楽になると思うんや…ッ…」
そう言われ、なんとなくだったが、この人には話したい……知ってほしい…そう思った。
💎「……色々あって…両親が離婚したんです」
💎「お母さんは離婚してお父さんに捨てられたのは僕のせいだって……言って殴られたりしました」
💎「学校でも暴力を振るわれるようになったんですが…誰も助けてくれる人がいなくて…ッ…」
💎「それで…ッ……何度も死のうとと思ったんですけど……ッ…死ね…なくて…ッ…」
💎「…ッ…何処か遠くに…ッ…いってしまおうと思って……それで…公演で遊助さんと会ったんです…ッ」
🦁「…ほとけ…話してくれてありがとう」
そう言って僕を優しく抱きしめる彼の温もりが酷く心地よかったのと同時に、溜まっていた涙が溢れてしまった。
💎「…ッ…ご…ごめんなざい…ッ…服が…ッ…((ポロッ」
🦁「服が濡れることなんて気にせんくてええよ…♪」
🦁「……ほとけ……今まで1人でよう頑張ったな…♪」
🦁「生きててくれて…生まれてきてくれて…ありがとう」
💎「…ッ…うわあああん゛ッッ!!((ポロッ」
🦁「いっぱい泣いてええよ」
💎「…ッ…ずっど…ずっど…辛ぐでッ…!!((ポロッ」
🦁「うん((サスサス←💎の背中を撫でる」
💎「お母ざんに生まれでごなげればよかったって言われでッ…!((ポロッ」
💎「学校でどんなに痛くて辛くても周りの人も先生も助けてくれなぐで…ッッ…!((ポロッ」
あぁ…そうだ……本当は僕は辛かったんだ。
お母さんに生まれてこなければよかったって言われて…全部がどうでよくなって……自分に嘘をついたんだ。
そうするのが1番楽だったから。
痛くて、辛くて、死んでしまいたくなっても…『どうでもいい』そう思うことでしか生きていけなかったから。
本当は死ぬ勇気がなかったんじゃなくて……死にたくなかったんだ。
自分自身に嘘をついていたことを彼に泣きながら話した。
彼は汚らしく泣く僕を突き放したりせず、むしろ初めよりも強く抱きしめて僕に言った。
🦁「今まで本当によう頑張ったな」
🦁「これからは俺がついとる。お前はもう……独りやないで♪」
その言葉を聞いて、僕はまた泣いてしまった。
彼のために用意した夕飯はとっくに冷めてしまった。
けれど、そんなことよりも少しでも長くこの温かい場所にいたいと思ってしまう僕は自分勝手だ。
僕は泣きつかれ、彼の腕の中で眠ってしまった。
どうかこれが夢ではありませんように。
そして、彼にだけはこの体のことがバレませんように。
続く
・・・
見てくださりありがとうございました!