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#デジタルイラスト
汚染
39
あめ猫@サボり魔
8,090
ありきたりな雑炊
50
FORSAKENのゲームステージ。
重苦しい空気に包まれた、薄暗いゴシック様式の古城。
高い塔の上では、豪華な浮遊チェアに腰掛けたスペクターが、赤いシルクハットをくるりと回して満面の笑みを浮かべていた。
「さあ、始めよう。」
「今日も最高の悲鳴を聞かせておくれ。」
指を鳴らす。
パチン。
闇が揺れた。
そこからゆっくり姿を現したのは、漆黒のマントをまとった古代の吸血鬼。
FORSAKEN最凶クラスのキラー。
ノスフェラトゥ。
「ククク……血の匂いがする。」
赤い瞳が細められる。
次の瞬間だった。
バサァッ!!
黒い翼が広がり、一瞬でサバイバーたちの目前へ。
「きゃあああっ!!(>_<)」
ヴェロニカが悲鳴を上げる。
「速っ!? 速すぎるって!!」
ビルダーマンも慌てて駆け出した。
「発電機どころじゃない!」
「逃げろ!」
ステージ中が大混乱になる。
その様子を見下ろしながら、スペクターは幸せそうに笑った。
「これだよ。」
「この絶望。」
「この悲鳴。」
「やっぱり最高だねぇ。」
だが。
「みんな、下がれ!」
シェドレツキーが前へ飛び出した。
緑色に輝くリンクソードを構え、ノスフェラトゥの前へ立つ。
「ほう。」
吸血鬼は口角を吊り上げた。
「単身で私を止めるつもりか。」
「愚かな勇者だ。」
鋭い爪が振り下ろされる。
ガキィィィン!!
「……何?」
止めたのは剣ではなかった。
シェドレツキーの足元。
影が、不自然に盛り上がる。
ズルッ。
緑色の半透明な腕が飛び出した。
「おい。」
低い声が響く。
「コウモリ野郎。」
影の中から、ゆっくり上半身が現れる。
ドミノクラウン。
燃える赤い瞳。
そしてニヤリと笑う1x。
「俺のバカシェドレツキーに勝手に触ってんじゃねぇ。」
「……!」
ノスフェラトゥの目が見開かれる。
「1x1x1x1!?」
「なぜ貴様がサバイバーの影から――」
最後まで言えなかった。
ドガァァァン!!
ヴェノムシャンクが振り下ろされる。
濃いエメラルドグリーンの炎が爆発した。
古城の壁が吹き飛ぶ。
ノスフェラトゥごと。
「ぐわぁぁぁぁぁぁッ!!」
吸血鬼は悲鳴を上げながら空の彼方へ飛んでいき、そのまま星のようにキラリと消えた。
しーん。
誰も動かない。
ヴェロニカが画面をフリーズさせる。
「……え?」
ビルダーマンも固まる。
「終わった?」
塔の上では。
スペクターが立ち上がっていた。
「え。」
帽子がずり落ちる。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
「キラーが!」
「サバイバー守って!」
「別のキラーをワンパン!?」
「ゲームバランスが壊れてるんだけど!?」
1xは影から上半身だけ出したまま、思い切り舌を出した。
「べー。」
「ざまぁみろ、赤い帽子。」
スペクターは、もはやシェドレツキーの影になった1xの悪意を、操ることが出来なくなっていた。
「そんな……。」
スペクターは頭を抱える。
「僕のゲームが……。」
一方その頃。
1xは何事もなかったように影の中をごそごそ探り始めた。
「ん。」
「これでいいか。」
取り出したのは串に刺さったマシュマロ。
「キラーも片付いたし。」
「発電機とか面倒だろ。」
「時間切れまで焼きマシュマロでも食おうぜ。」
「賛成だ」
ビルダーマンが真っ先に手を挙げた。
「1xの炎は絶妙に香ばしく焼ける。」
「調味料扱いすんな。」
「ヴェロニカも食べる?」
シェドレツキーが笑う。
「もちろん!」
「今日くらい修理サボってもいいよね!」
「どうせキラーいないし!」
「俺いるけど。」
「1xはもうキラーっていうより保護者だから。」
「誰が保護者だ!」
「バカシェドレツキー見張ってるだけだ!」
「はいはい。」
「監視ありがとう。」
「……っ。」
耳まで真っ赤になる1x。
「照れてねぇ!」
「熱いだけだ!」
「炎だから!」
そのやり取りに、サバイバーたちは大笑いした。
焚き火の周りには笑い声。
焼けるマシュマロの甘い香り。
古城とは思えないほど穏やかな時間が流れていく。
塔の上では。
スペクターが一人、爪を噛んでいた。
「絶望は……?」
「恐怖は……?」
「悲鳴は……?」
眼下では笑顔。
笑い声。
焼きマシュマロ。
そして影から顔だけ出してモグモグ食べる1x。
スペクターは空を見上げ、深いため息をついた。
「……なんで。」
「どうして僕のデスゲームが、キャンプ場になってるのさぁぁぁ!!」
その悲痛な叫びだけが、古城いっぱいに虚しく響き渡るのだった。
コメント
2件
ヤバいこの話好きすぎる…!