ついに作戦決行日。
「はい!いっちょ上がり!」
「「「おぉぉぉ!」」」
黒尾さんがお姉さんから借りてきたという服や化粧品によって変身させられた孤爪は男子高校生がスマホ片手にメイクアップしたとは思えない出来だった。
作戦の最終確認。
大体の流れと失敗した時は先輩がいなくなり次第撤退…などを決め、そろそろ行こうかと話していると
「そういえば今日までの先輩がナンパしてる現場の写真撮っといたけどいる?」
と木葉さんが言った。
「いい感じに写真撮れても道聞かれてただけとか言われるかもしれないから今までのあった方がいいかなって」との事だった。確かにその方が説得力も増すしいいだろう。でも、今日までのってことは…
「木葉さん前から先輩の様子見てくれてたんですか?」
「あ〜まぁな!つってもお前から話聞いたあとからだしそんな大した事ないけど」
何故木葉さんは先輩が部活のない日は必ずあの通りでナンパしているということをあの時点で知っていたのか。そういう事だったのか。
「ありがとうございます」
「どういたしまして!」
目的地に着きそれぞれ所定の位置にスタンバイする。
まだ先輩は来ていないようだった。
〜side研磨〜
おれは指示通りなるべく目につく木の下で立っていた。
ちなみに赤葦と木兎さんはそれぞれ別の場所で隠れてカメラスタンバイしてる。
クロと木葉さんはこの前のファミレスの窓から様子を伺ってる。
おれの周りはそれなりに人はいるけどカップルとか何人かのグループが多い。
早く帰りたい…なんて考えているとピコンッとスマホからメールの受信音が鳴った。赤葦からだった。
『木葉さんの写真見てたらナンパされてる女の子みんな大人しそうな雰囲気の子だった。孤爪はいつも通りで大丈夫だと思う。』…だって。
『了解』とだけ返してふと前を見ると少し遠くに例の先輩らしき人が見えた。
練習試合で見たことがあるし写真も見せてもらったから間違いない。
その先輩はキョロキョロとターゲットを探した後におれの方に歩いてきた。
「君1人?」
まさかそんなすぐに上手くいくとは思わなかった。
声は出さず首を縦に振ると
「良かったら俺と遊ぼーよ」
とかいう典型的なナンパのセリフが返ってきた。
手を引かれ無理やり連れていかれそうになっているところにクロがやってきて
「うちの子返してくれます?」
と言うと「彼氏待ちかよ」と呟き去っていった。
「わークロかっこいいー」
「棒読みじゃねーか!」
「でもまさかホントにかかるとはね」
「それな。とりあえず合流するか」
少し離れたところで合流すると孤爪は既に女装メイクを落としていた。
俺と木兎さんの写真を皆で確認して木葉さんに送った。
出来るだけ早く編集してくれるとのことだ。
「じゃあでき次第すぐに連絡すっから!」
「すみません よろしくお願いします。」
後日、木葉さんから「出来た!」という件名で写真が送られてきた。
服と顔がいつもの孤爪になっていて黒尾さんの作戦通りの写真になっていた。
そういうのに少し詳しい孤爪ですら編集されてるように見えないと賞賛していた。
部活帰りに先輩を引き止め写真を見せてもう俺に手出しさせないようにすると木兎さんが言ったので
明日の部活が終わったら木兎さんと木葉さんと残って先輩と話すことになった。
……To be continued
コメント
3件
全部一気見しちゃいましたッッッ‼︎ とても良い作品です!!続き楽しみにしていますね!!!