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え、まって見るの遅すぎた。 好きすぎるこれブクマ追加です。 やっぱあの2人って熟年夫婦感えげつないな… ライナスの毛布か、初めて聞いたなー!私にとってのライナス毛布は引越しの時に買った犬のぬいぐるみかな…
もう好きです 😌😌 ライナスの毛布ってめちゃ初めて聞いたんだが?!😿💕 内容深いし、最後らへんのとこにいくにつれて泣きそうになっちゃったよぉ 〜 😭😭 相棒だからもあって、持ってるものは二人ともいつも一緒なんだね 🫶🏻💕 二人にとってのライナスの毛布は お互いだと勝手に思ってる 🙄👉🏻👈🏻 つい魅入ってしまったッ😭 愛読確定 😎💘
…あ、好きです ライナスの毛布をネタに持ってくるあたり最高じゃないっすか?? いや、ほんとにネタと書き方がもう神りすぎて泣く(?)
こんにちはねこもみじです!
今回は咲様のコンテストに参加させて頂きます!
注意
・青桃
・エセ関西弁
・御本人様とは関係ありません
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「なぁ、ないこ。このぬいぐるみ何?」
資料の作成中、落ち着いた声が上から降ってきてきた。
上を見上げると距離感が可笑しいのか、すぐ目の前には青い瞳が不思議そうにこちらを見つめてくる。
見つめてくるまろの左手にはぬいぐるみがあり、付いている耳をぶらぶらと揺らしていた。
「耳は引っ張んな、…それは犬のぬいぐるみだけど」
「ぬいぐみなのは分かってるんよ」
そういう事が言いたいんじゃないと言わんばかりに眉を下げて笑うまろ。
「いやー、こんな可愛いのしゃっちょがお持ちなんですねー、と」
「なに、悪い?」
「いーや、悪くないけどさ」
「キャラしっかり保ってるんやなぁって」
まろの言う”キャラ”と言うのは犬系男子と言われているからだろうか。
それとも、モチーフキャラも相棒のキャラクターも犬だからだろうか。
「色々含めてな、そういうとこちゃんとしてんねんやなって」
考えて黙り込んでいた内容に察したのかそんなことをいってくる。
「…ま、そうかもね」
「まろも持っとけば?猫のぬいぐるみ」
「会社で万が一見られたら引かれそうやから辞めとくわ」
「それもそっか」
その言葉を最後にお互い肘が当たるくらいの距離で椅子に座ってまた作業を始めた。
ーーーーー
「…ないこさーん」
「…んー、……あぃ」
会社の集まりで飲み会が開かれた、隣にはべろんべろんに酔った相棒がいる。
「もう、1杯すら飲みきれてないのにこのザマか」
んはは、と笑ってもいつものようなキレの良いツッコミが帰ってくるはずもなく。
「…二次会なら帰ってもセーフか」
1次会は既に終わっているし、もう酒飲んで話して…くらいだから帰ってもなんら問題はないだろう。
「ないこ、帰ろう」
「ぅ、ん…」
「すみません、俺らそろそろ上がりまーす」
『お疲れー』と酔っ払ったお偉いさん達に手を振られる。
「家の鍵ちゃんとある?バックの中見るよ?」
「いーよ…」
今日は飲み終わった後はないこの家で寝させてもらう話だったから一応確認を。
ないこは酔っ払うとスマホを勝手に取ってもただニコニコすることがあるから、誰かに無意識に鍵を渡している可能性も…
「お、ちゃんとあった」
バッグを漁っていると内ポケットからはカラコンのケースやら薬が入っていたが、ふと目に付いたのは犬のぬいぐるみだった。
「またぬいぐるみあるやん」
どんだけ『ないこ』を気をつけてるんだよ、なんて言って笑っていると目を細め顔を真っ赤にしたないこが口を開いた。
「…それ、…ちっさいころ、体調悪くなったときに……おかんに、もらって」
「うん」
珍しくないこが語り出したので止めることはなく相槌で続きを促す。
「このこがいれば…だいじょうぶだよって、」
「それでこいつがいると、あんしん…するから」
「いっつも持ってる…」
「そうやったんやね」
きっと、この小さなぬいぐるみはないこにとってライナスの毛布にあたるものなのだろう。
たしか…特定のものに執着することで安心感を得る状態…だったっけな。
幼少期から肌身離さず持っていたのなら、今でも変わらずバッグに入れて持っていたのなら、ないこの不安は計り知れないほどなのかもしれない。
俺よりも年下だけど、リーダーも社長も担って不安が無いなんてことはあるはずがない。
「よく頑張ったな」
ふわふわな桃髪を撫でた後、眠そうなないこをおぶって家路を辿った。
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「ないこ、いつもありがとうな」
酔いが覚めた頃相棒にそんなことを言われた。
「え、どしたん急に?」
「いや、ほんま良く頑張ってるよなーって」
「怖い怖い、どした?酔ってる?」
「酔ってたのはないこな」
飲み会の最中相当酔ってしまったようで気づけば自宅のソファに横になっていた。
「そのぬいぐるみはないこにとってのライナスの毛布やろ?」
まろの指さす方には俺のぬいぐるみがあった。
「ライナスの毛布って何…?」
「え?ライナスの毛布ってのは__」
「…ふーん、要は安定剤か」
何だか長そうな気がしたからスマホで調べてみるとそういうものらしかった。
「俺の話も聞けよ」
流石効率厨やな、なんて笑いながらまろはまた言葉を紡いだ。
「なんかあったら誰かに相談しろよ、勿論俺でもいいから」
なるほど、きっと酔っている間にぬいぐるみに関して俺はまろに言ったんだなと予想した。
「本音は『俺に真っ先に相談して欲しい』とかじゃないの?」
「さぁな」
視線を逸らして頬を紅潮させるまろのことだ。
きっと当たっている。
「じゃあ頼らせてもらいますよ相棒」
その言葉にまろは満足そうに微笑んだ。
「ところでさ、」
「まろのライナスの毛布って何かあるの?」
「俺?」
「俺は思いつかんなぁ、何やろ」
「ふーん、」
「何、その怪しい顔」
「べっつにー、あ、風呂でも入って寝ようよ」
「ないこのでっかいベッドで?」
「うん、俺のでっかいベッドで」
「ならはよ入る、ないこも入ろ」
腕を引っ張って急かされながら温かい風呂へ向かいだした。
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風呂も終わり、大の大人が2人してベッドに潜り込む。
別に付き合ってる訳でもないのに。
至近距離でまろがこっちを見つめてくるもんだから、俺ら夫婦かよ、なんて言ったら
「もう熟年夫婦もいいところやろ」
と、目を細めながらツッコんできた。
そこから大して会話することも無くリスナーさんの投稿を見ていると何時しかまろは眠りについていた。
ぎゅっと、俺を抱きしめて。
先程、まろにとってのライナスの毛布は何かと尋ねても曖昧な返答しかこなかったのにも今頃理解出来た。
まろは普段の時も俺との距離が近い。
距離感バグ…とはこういうことなのかと思うくらいに。
用事がない時には俺の家に遊びに来るし、現に一緒に寝る時は絶対に離しはしないというかのように抱きついてくる。
調べた時に『一般的には布系のもの』つまり俺のようなぬいぐるみに執着していることを指したりするはずだがまろは少し違うようだ。
もしも、不安の大きさと執着の強さが比例するのであればまろもきっと誰にも打ち明けられない悩みがあるのかもしれない。
人に打ち明けたりしないまろのことだから、聞いたところで不快に思われてしまうだけだろう。
なら、俺がまろのライナスの毛布の存在となって無意識に安心させられるのが一番の解決策のはず。
気持ちよさそうに眠るまろの頭を撫でると、「ん…んぅ」と声を漏らすと共に一段と強く抱きしめてきた。
「ふふ、いつも頑張ってくれてありがと」
普段恥ずかしくて口にはしない感謝を言葉にした後、俺は微睡みの中に誘われていった。