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みんな、本当にいい子達で可愛いんだ。
真面目な子、大人しい子、ちょっとうるさい子、明るい子、面白い子。
優しい子……時々、意地悪してしまう子。
いろんな個性があってすごく興味深い。
僕自身、以前は、いつもニコニコして元気だって言われてたけど、その奥には少し冷めたところがあった。
でも、雫さんがいつも笑顔で明るく優しくしてくれたから、僕もそうありたいなって。
いつしか、それを彼女から学んだ。
あの頃はいろいろあったし、嬉しいこともつらいこともたくさん経験した。
だけど、やっぱり、雫さんと過ごせた時間が僕の人生の中で1番輝いていたと思う。
あの人に会えたら、ただ無条件に嬉しくて。
勇気や元気や希望を全部もらえた気になった。
イチゴが結んでくれた雫さんと僕の「幸せの塊」みたいな日々。
それだけは、どんなことがあっても一生、忘れることはできないんだ。
「希良……君?」
艶のある聞き覚えのあるその声。
まさかと思って振り返る。
「はっ。えっ、あ、あっ……」
あまりの驚きに、僕の喉に言葉が詰まってなかなか出て来なかった。
「どうしたの? 希良君、何でここに?」
「し、雫さん……」
目の前にいるのは本当に雫さんなの?
すぐにはとても信じられなかった。
「嘘みたい。希良君に会えるなんて」
「そ、そうだね……僕も……驚いてる」
あの時以来、久しぶりにこのテーマパークに来て、本当に夢の世界に迷い込んでしまったのかって錯覚した。
5歳年上で39歳の雫さん。
いつまでも、何も変わらない。
とんでもなく綺麗だ。
さっきまで穏やかだった僕の心臓は、突然激しく鼓動を刻み始めた。
「あ……えと、この子、私の息子なの。こっちは私の母です。今日は3人でここに遊びに来てて」
雫さんの子ども……
すごく、似てる……あの人に。
「そ、そうなんだ。こんにちは」
僕は、目の前の可愛らしい男の子に挨拶した。
「こんにちは。榊 正孝です。お母さんのお友達?」
正孝君……いい名前だ。
とても礼儀正しく、しっかりしてる。
「そうよ。お母さんのお友達。とても優しいお兄ちゃんなの。希良君は学校の先生なんだよ。理科の先生をしてるの」
「学校の先生なんて、すごい!」
曇りのない真っ直ぐな目で見られたら、ちょっと照れる。
「正孝君は、小学生? えと……中学生かな?」
「小学6年生です」
「そっか、立派だね。背も高いしイケメンだ。きっと頭もいいんだろうね」
「雫。久しぶりなら、お友達と積もる話もあるでしょう。正孝、あっちで何か乗ろうか」
雫さんのお母さんが、そう言って、僕達を2人にしてくれようとした。