テラーノベル
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マタロウ「それは…僕、じいちゃんがいたからできたんだ…じいちゃんがいなきゃ…うぅっうっ…」
じいちゃんが死ぬなんてイヤだ。
いなくなるなんてイヤだ。
涙は絶えず流れ落ちる。
だけど、おじいちゃんはマタロウの手を離し、まるで未来を見るような目で遠くを見つめて言った。
おじ「マタロウ…じいちゃんには見える…お前は、宇宙一のヒーローになれる…」
マタロウ「じいちゃん…!!」
そうだ…そうだよ!
あれから僕は、ずっとおじいちゃんのあの言葉を信じて、守ってきたじゃ無いか。
『努力して、工夫して、向かい合う』…
1日も忘れる事なく、その言葉の通りに、僕は今日まで生きてきたんだ!
マタロウ「ぐっ…」
怨念のタマゴに投げ飛ばされて痛む体に力を込める。
(努力して…工夫して…向かい合う)
大事な大事なその言葉を、心の中で読み上げる。
マタロウの耳に、ジンペイの声が入ってくる。
ジンペイ「よく考えてみろ、マタロウ!この学校に入れたのだってたまたまじゃない。
お前は自分でベストな塾を選び、友達に勉強を教えてもらい、過去の出題を分析して的中させた。
お前は自分の力で、勝ち取ったんだ!」
アゲハ「そうよ!全部マタロウ君、あなたの実力なのよ!
マタロウ君の努力が身を結んだからこそ、あなたは今ここにいるの!
これを乗り越えれば、本当のヒーローよ!」
ジンペイとアゲハの言葉に、マタロウはハッとする。
マタロウ「そうだ…努力して工夫して向かい合う…」
そうだ。ジンペイの言う通り、考えてみれば行動していたのは自分だった。
血の滲むような努力を積み重ねたんだ。このY学園に入りたいから。
アゲハの言う通り、諦めずにあの言葉を心に強く刻んで、頑張ってきたからこそ今ここにいる。
妖怪HEROの活躍も間近で見れたし、頼もしい友達もたくさん出来た。好きな女の子だってできた。
あれもこれも、全部自分の努力のおかげだ!
宇宙一のヒーローになるんじゃなかったのか!
マタロウ「乗り越えてみせるっ!」
ジンペイ「そうだ!お前ならできる!」
ジンペイの声援に鼓舞されて、マタロウはやる気を滾らせた。
マタロウ「やるぞおおおおっ!」
マタロウは、近くにあったコンクリートの塊を、とてつもない力を出して持ち上げた!
マタロウ「僕は…宇宙一のヒーローに…なるんだ──っ!!」
小さい頃から思い浮かべていた夢を思い切り宣言しつつ、コンクリートを持ちながら怨念のタマゴに突進していく。
マタロウ「うぉおおおおおお!!」
闘志に満ちたマタロウの気配を感じた怨念のタマゴ。
だが、すでに遅かった。
マタロウは、力を振り絞り、コンクリートの塊で怨念のタマゴを力一杯叩いたのだ!
タマゴ「うひょぉおおおん!」
なす術なくぶっ飛ばされる怨念のタマゴ。校舎の柱に勢いよく激突し、ベローンと伸びた。
だが、その上に鉄骨が次々と容赦なく落ちてきて、怨念のタマゴにグサグサ突き刺さった!
大爆発が起き、怨念のタマゴは光の結晶となって飛び散った。
それと同時に、アゲハ達を捕らえていたネバネバも消えてなくなった。
アゲハ「良かった…」
解放され自由の身となったアゲハ達が安堵のため息をつく。
マタロウ「やった…僕がやったの?」
今一つ実感が持てていないらしいマタロウのもとに、皆急いで駆け寄る。
ジンペイ「そうだ!お前がやった、マタロウ!」
アゲハ「凄いじゃないマタロウ君!」
ジンペイとアゲハの称賛の声に、照れの表情を隠せないマタロウ。そんなマタロウにとどめを刺したのは…
アゲハ「すっごくカッコ良かったわよ!」
アゲハが満面の笑みで放った一言だった。
マタロウ「…!?カ、カカカカ…カカカ…カッコイイ!?」
異常な程に顔を赤くして、プシュ~ッとノックアウトされるマタロウ。
ジンペイとアゲハ以外の他の面々は、ニヤニヤとそれを見守っている。
ジンペイ「ったくよー、俺も頑張ったのにな~」
ジンペイが頭の後ろで手を組みながらチラッ、チラッ、と、わざとらしくアゲハの方を見る。
アゲハ「はいはい、ジンペイもカッコ良かった!」
おっと、2人目の犠牲者が出た。
フブキは「ほほー、これが俗に言う…ウフフフフ」と1人でニヤニヤしている。
マタロウ「僕はもう、たまたまの男じゃない!アハハ、アハハハ!」
やったよじいちゃん!僕、ついにヒーローになれた!
しかもアゲハさんに、カ、カッコいいなんて…
マタロウが心の中で盛大なガッツポーズを決めていると、
えんら先生がセクシーな歩みでやってきて、マタロウの肩にそっと手を置いた。
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