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会社を出たのはいいが不安を払拭する事が出来ず、俺は会社の出口で先輩の事を待っていた。都会の雑踏の中で、俺の周りだけが音の無い全く違う世界に感じた。


身体は僅かにまだ震えている。こんな経験は初めてだった。所謂、霊だのお化けだの、俺には関わりのない存在だと思っていが、そんな他人事を簡単に覆えされてしまった。


恐ろしかった…… 冷静で居られなかった……

(家に帰りたくない)


そんな思いに耽《ふけ》っていると、先輩が先に声を掛けてくれた。


「はぁ、まぁそうなるよな、ほら飲みに行くぞ」


先輩は洞察力の塊みたいな人だった。世間で言う所の先読みが出来る人物。当然社内でも評価は高く現在の役職は係長だが、次期課長とも囁かれて居た。しかし当の本人は何故か役職で呼ばれるのを嫌い、俺は先輩と呼ぶように言われている。


魚料理が旨くて安いと評判の店に入りビールで喉を潤す。喉に痞《つか》えた感情が不安と共に飲み込まれてゆく。適度なアルコールが安心感を生んでくれた。


「先輩、あのっ、俺が見たあれって……」


「やめろ―――――!! 」

俺が言い終わる前に先輩は声を張り上げて話を遮った。


「あぁ、すまん、その話は無しで行こう、今日はな」


その後2軒目の居酒屋で、これで最後と注文した酎ハイがテーブルに届いた瞬間に、会社名義のスマホのメロディが鳴りLINEのメッセージを受信した事を教えてくれた。


「何だ? こんな時間に緊急か? 」

先輩が訝《いぶか》しげに表情を曇らせる。


時刻はもうすぐ深夜零時。都会ではまだまだ繁華街は活気に溢れ24hの店が大半で、暗闇を探す方が難しい。酒屋も肉屋もスーパーもケーキ屋も、歯医者だって24h営業だ。勿論、保育所もそうだ。


俺はほろ酔い気分でLINEの画面を確認し、一瞬で酒が抜け凍り付いた…… そんな俺を見て先輩がスマホを取り上げ画面を注視する。


「なっ!! 」

画面にはリンク先と機械的なメッセージが貼ってある。



《池尻賃貸Nマンションペットカメラ起動しました確認してください》



先輩は頭を掻きむしり首を横に振って俺にスマホを手渡すと震えた声で俺に諭した。


「駄目だ、中山、それは開いたら駄目なやつだ」


一瞬で俺達二人からは笑みが無くなった。しかしそれは只の序章でしかなかった。暫く沈黙が続く中、二人の個人スマホが同時に鳴り響き、更に恐怖に追い打ちが掛かる。


「はっ⁉ 」

―――先輩が慄《おのの》き……


「えっ⁉ 」

―――俺は戦慄《わなな》く……


二人同時にLINEの画面を確認すると……



《池尻賃貸Nマンションペットカメラ起動しました確認してください》



ヒィと先輩はスマホを投げ出し、俺は椅子から転げ落ちた。半分も飲んでいない焼酎のグラスが床に砕け店内が凍り付く。


「ふっふざけんな、俺のスマホにはアプリなんて入れてねーんだぞ!」

先輩が顔面蒼白で訴える。


「おっ俺もですよ先輩……」


「なっなんで登録もリンクもさせていない俺のスマホにメッセージを直接送れるんだ? なぁ教えてくれよ?」


狼狽する先輩の額には只ならぬ汗がびっしりと滴《したた》っていた……

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