廊下__
『…ハア…嫌な記憶ね。』
「大丈夫?」
『えぇ。だけど、私ね。攫われてからの記憶のうちに一時期だけ記憶がない場所があるんだよね。』
「一時期だけ?記憶喪失ではないんですかね…?記憶がない部分の次の部分は如何なんですか?」
『う~ん…そこら辺もボンヤリしt((止まりなさい。』
「ッ!夜叉白雪!」
「無駄です。異能力:異能の消失」
「!夜叉白雪が…」
「僕の細雪も…真逆、太宰さんと同じ、反異能!?」
『厄介なことしてくれるじゃない。』
「で、でも、紗雪さんが人間失格を発動すれば…」
『そんな事したら、大変なことになるわよ。』
「その通りです。よく分かっているじゃないですか。教えたかいがありましたね。」
『ハァ…。谷崎君。”特異点”について知ってるかな?』
「特異点…?」
『特異点というのはね。最近特務課が研究し始めた”異能による現象”でね。』
「異能による…?」
『例えば、…未来を読む異能者同士が異能を発動したら、相手の行動を予測するわけだから未来予知に齟齬が生じるの。
後、同じ異能でなくても、異能を取り出す異能者が太宰から異能を取り出した時にも特異点は発生する。
それで、澁澤は特異点となって、甚大な被害を及ぼしたでしょう。』
「よく覚えているじゃないですか。」
女性が口を挟んでくる 少女の顔が険しくなる
まるで、紗雪を昔から知っているかのような口ぶりだ
『つまり、異能同士の嚙み合わせが合わないと大変な事になる、って事。さぁ、話は終わり。お互い全力で。
しかし、二人には手を出さないことがルール。さ、始めようか。”黒羽先生”』
「ふふ…生徒をいたぶるのは気が引けるのだけれど…もう、裏切り者だものね。」
『異能力:月を描く月:十五夜結界。鏡花ちゃんたちは安全なところから。』
「でも…」
『此奴は私じゃないと倒せないし、私が倒す。二人は私が危なかったら直ぐに逃げてね。』
「そ、そんな事ッ!」
「おっと、お喋りの時間は終わりですよ。生徒は席につかないと。」
『上等よ。かかってきなさい。』
「あら、挑戦者はそちらですわよ。」
二人の間に火花が散っている
殺気同士がぶつかり合ッているようだ