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学校に着き、校門を通る。
さっきまで明るく話していた奴らは俺を見つけた途端、足早に去って行った。
(お前らにはなんもしねぇよ)
そう思いながら、俺は校内に入ろうとした。
その時、制服を着崩した奴らが近付いて来た。
「おい!来未さんよぉ゛」
「あ゛?」
名も知らないいつもの喧嘩相手だ。
そいつは手の関節を鳴らしながら俺に近付いてきた。
「来いよ゛」
「無理、めんどい」
いつもなら買う喧嘩、
今日は買う気にもなれず、断ることにした。
そう言った途端、そいつの顔は鬼のようになり俺に殴りかかろうとしてきた。
ここでは良くない、そう思い俺は避けようとした。
「ちょっと、何してるんですか!」
「はぁ゛?」
俺はもちろん、さっきまで足早に去って行こうとした奴らも驚いている。
見た目からしてヤンキーな俺らの喧嘩を止めようとするなんて警察くらいしかしないだろう。
それなのに、こいつは、
「あの、殴っちゃダメです!」
「何、止めてんの?」
俺は聞いた。
大体こういう時は罰ゲームやらで無理やり言わされてみたいなやつだ。
そんな奴に構うほど俺は暇じゃない、
「だって、痛いじゃないですか!」
「はぁ?」
いつも通りの事を言われるのかと思いきや、まさかの全然違う答えだった。
(いやいや、痛いとかって気にするか?)
「はいはい、分かりましたよ、じゃあね来未さん、」
そう言いながら、こいつの事をバカにするように喧嘩相手は去っていった。
その途端周りも時が戻ったかのようにいつも通りになる。
さっきから気になっていることがある。
こいつが見覚えのある顔をしているのだ。
(最近、見た気がする……)
「あッ!お前ッ!」
「へッ僕?」
(思い出した、こいつ夢で轢かれてた奴だ)
なんて、不謹慎な事を思い、笑いそうになるのをグッと抑えた後考える。
きっと夢であなたを見ました、と言っても変人扱いされるだけだろう。
どうにかして、こいつと繋がりたい。
考えた末、俺はこいつの連絡先を聞いてみることにした。
「連絡先、教えろ」
「へ?僕の?」
「そうだけど」
こいつはノロノロとスマホが入っているポケットを触っている。
俺はこいつのポケットからスマホを出して、電源を入れる。
「パスワード何?」
「ぇ、えと」
「パスワードは?」
「000215です、」
俺は言われたパスワードを打ち、ホーム画面を開く。
そして、メッセージアプリを開き、俺の連絡先を登録する。
「はい」
「な、なにしたの?」
「交換しただけ」
こいつはホッとした様子でスマホをポケットの中に戻した。
「なぁ、名前なんなの?」
「ぇ、えと僕だよね?」
「何回繰り返すんだよ!」
俺はこいつの天然ぶりに圧倒され笑ってしまった。
そして、俺の笑った顔を見てこいつはどんどんと近付いてきた。
「笑った顔、可愛いね」
俺より拳一つ分小さい背のこいつは精一杯背伸びをして俺に言う。
その行動はとても可愛らしく愛おしいものだった。
(いやいや、なんでこいつなんかに可愛いって思うんだよ!)
こいつは元の場所に戻り、スマホを開く。
「くるみくんって言うんだね」
「ぁ、ああ」
「僕の名前はね、永目創太って言うんだ」
『永目創太』
その名前は俺の耳に一生残るように響き渡った。
その感覚は嫌ではなく、逆に残って欲しい、
そう思うものだった。