テラーノベル
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2話です。
注意書きは1話をご覧下さい。
では、どうぞ。
rd「ただいま。」
声をかけながら家に入ると、父さんはもう帰ってきていた。
食卓には暖かそうな夕食が並んでいる。
でも、それすら気に入らないくらい、俺は今腹を立てていた。
rd「…母さん。」
母「らっだぁ…おかえり。」
rd「なんでぺいんとが帰ってきてること教えてくれなかったの?」
母「ッ……」
母さんは下を向いて口ごもる。
その仕草が、俺の神経を余計に逆撫でした。
rd「ねぇ、なんで黙ってんの。ぺいんと、母さんに会ったって、挨拶もしたって言ってたけど。わかんない訳ないよね?なんで教えてくれなかったの?」
口調に苛立ちが滲み出てくる。
父さんはそんな俺と母さんを見ているだけで、何も言わない。
それにも腹が立つ。
rd「ねぇ母さん、なんで__…」
母「あんたに気を使っているのよ!!」
rd「…は?」
急に母さんが大きな声を出した。
ちょっと驚いたけど、それ以上に、”気を使っている”その言葉が耳に残って、頭が痛くなる。
母「ぺいんとくんの話をしたら…あなたが…」
rd「俺が何?!」
俺も大声を出して怒鳴ると、母さんは1度大きく深呼吸をして、俺の目を真っ直ぐに見つめてきた。
母「あなたが、ぐちつぼくんのことを思い出すと思ったから。」
rd「ッ………」
言葉が出ない。
目頭が熱くなってきて、思わず視線を落とす。
rd「俺…そっちの方が傷つくって……前言ったよね…?母さん、何も分かってくれてないじゃん……。」
母「そ、それは……」
rd「もういいよ。」
キッチンを出て、階段を登る。
母「どこ行くの…っ?」
rd「部屋。…来ないでね。」
冷たく言い放って、部屋に入る。
俺の部屋は、俺が家を出ていったときのままにされていて、なんだか落ち着く。
ベッドによじ登って、膝を抱えて座った。
小さい頃、悲しいことがあった時はいつもこうしていたっけな。
ぐちつぼが居なくなった時も、こうやって泣いた気がする。
……ぐちつぼ。
彼は、俺とぺいんとの親友だった。
バカ三兄弟のうちの1人。
ぐちつぼは、小学校6年生の夏にどこかに消えた。
あの日のことを、俺もぺいんとも一生忘れられないでいる。
…忘れるわけなかった。
俺が、あんなこと言わなければ、ぐちつぼは今も……。
今でも夢に見る。
あの日のこと。
〜10年前 夏
rd「なぁ、この里の怖い話、知ってる?」
pn「怖い話?」
gt「カッパが住んでるカッパ池のこと?」
rd「違う。御山の話。」
2人「御山?」
2人とも首を傾げてこっちを見る。
知ってるわけ、ない。
だってこの話は、大人たちは子供に言わないように口止めされてるから。
たまたま話を聞けた俺はラッキーだった。
俺たちの里のはずれの方には、”御山”と呼ばれている神山がある。
あそこは、”迷子になるから子供は行くな”と言われていて、少しでも足を踏み入れようものなら里中の大人たちが集まってきてこっぴどく叱られる。
だから誰も近づこうとしないんだけど。
rd「あの御山、実は化け物が住んでるんだって。それで、山に入ってきた人間を連れ去っちゃうから、誰も行かないらしいよ。」
pn「え、こっわ……。 」
gt「…誰から聞いたの?」
ぺいんとは素直に怖がっているが、ぐちつぼは少し疑り深い目で俺を見てくる。
rd「里長。俺の父さんと話してるの、たまたま聞いちゃって。」
gt「里長?じゃあほんとじゃん。怖、w」
里長、と聞いて、やっとぐちつぼも信じてくれたみたいだった。
rd「あのさ、それで提案。」
pn「え、なになに?」
gt「お前まさか、御山に入るとか言うんじゃねぇだろうな?w」
rd「そのまさかですよ。」
2人「はぁ?!」
pn「やだやだやだ!!絶対無理!俺行かない!!」
gt「んー俺も怒られるのはごめんかなぁ。」
rd「えー、なんだつれないなぁ。」
まぁ予想通り、2人は行かない、と首を振った。
俺らは3人揃って怖がりだから、肝試しとかは苦手だ。
でも、俺はどうしても御山に入りたかった。
普段入れない所に、そんな秘密が隠されているなんて、そんなの気になるに決まってる。
2人も俺と同じ気持ちなのか、首を振りつつも目は少し輝いている気がする。
rd「まぁ、2人がどうしても行かないって言うなら、俺1人で行ってくる。」
2人「え?」
rd「どうしても気になるし。ほんとに化け物いるのかどうか。」
pn「えぇ…やめとこうよらっだぁ…。攫われちゃったらどうすんの…。」
rd「ん〜その時はその時考える!じゃ、俺そろそろ帰るね!準備したいから!」
gt「え、今日行くの?!」
rd「違うよ。だけど、夜こっそり抜け出していくから、色々準備しないといけないし!じゃあまたね。」
pn「えー、らっだぁほんとに行くの…?」
俺が歩き出すと、ぺいんとが俺の後ろをついてきながら心配そうにたずねてきた。
rd「俺はやるって決めたらやるから!」
gt「1人で行くのはさすがに危ねぇよ……」
rd「じゃあ2人が来てよ!」
gt「えぇ……」
rd「俺を守って?」
後ろを振り返ってのんびり言うと、2人は顔を見合せてから、小さくうなづいた。
gt「そこまで言うんなら」
pn「俺たちも行く!」
rd「ほほーん、言ったね??」
rd「怖くなって逃げ出さないでよ?」
gt「こっちのセリフだわ!!」
ぐちつぼは威勢よく返してきたけど、ぺいんとは自信なさげに笑うだけだった。
この3人でいる時が、俺は1番心地よかったし、楽しかった。
皆性格はバラバラだし、好きな遊びも違うけど、なんとなくいつも息が合って、最終的には3人仲良く色んなことをする。
他の誰といても、こんな幸せは感じられない。
この3人でいるからできることが、たくさんある。
というか、3人いれば、できないことは無い。
……そう、思っていたのに。
お久しぶりです!
全然浮上できなくてごめんなさい。
色々ありまして…。
これから皆さんの作品にコメントとかいいねして回るので、少々お待ちください……。
今回はここで切ります。
3人に一体何があったんでしょうね。
では、また次回お会いしましょう、おつあめ!
コメント
4件
更新感謝‼️やっぱり空気感が好きだ...💖🫶 だんだん過去が明らかになっていく...3人の平和な日々がここからどうなってしまうんだろう🤔