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羊と亀のお遊戯会
23
奏音•*¨*•.¸¸♬︎💙
10
映え無し
1
【短歌】
恋愛の相談相手が好きな人どうすればいいどうすればいい
【短歌をテーマにした物語】
放課後の教室。
私は机に頬杖をつきながら、向かいに座る君を見ていた。
「ねえ、相談してもいい?」
「もちろん」
君は笑って答えた。
それを見て、私は少しだけ胸が痛くなる。
実は、君に相談したいことがある。
でも、本当のことは言えない。
「好きな人がいるんだけど……」
「へえ」
君が少し驚いた顔をする。
「どんな人?」
「優しくて」
「うん」
「話してると楽しくて」
「それはいいね」
「困ってると助けてくれて」
「なるほど」
私はそこで言葉を止めた。
君の顔を見る。
「……どう思う?」
「どうって?」
「その人に、どうやって気持ちを伝えればいいかな」
君は少し考えた。
「まずは、もっと話してみたら?」
「もっと?」
「好きな人なら、もっとその人のこと知りたいでしょ?」
「……うん」
「それに、自分のことも知ってもらったほうがいいと思う」
君は真面目な顔で続ける。
「焦らなくていいんじゃないかな」
「そっか……」
私は頷いた。
君は知らない。
今、君が話している相手が。
君のことを好きな本人だということを。
「じゃあ、もう一つ聞いていい?」
「いいよ」
「もし、その人が……」
私は言葉を選んだ。
「ずっと近くにいる人だったら?」
「近くに?」
「うん。いつも話してて、一緒にいることも多くて……」
君は少し考える。
「それなら、きっと気持ちは伝わりやすいんじゃない?」
「そうかな」
「うん」
「でも、もし嫌われたら?」
その言葉だけは、本音だった。
君の表情が少し変わる。
「……怖いよね」
「うん」
「でも、好きな人に好きになってもらえたら、一番嬉しいんじゃない?」
「……そうだね」
私は笑った。
胸が苦しい。
だけど、君が真剣に相談に乗ってくれていることが嬉しかった。
「ありがとう」
「どういたしまして」
その日、私は家に帰ってからずっと考えていた。
君は私の恋愛相談に、一生懸命答えてくれた。
なのに。
相談しているうちに、ますます君のことが好きになってしまった。
翌日。
放課後の教室で、また君と二人になった。
「昨日の相談なんだけど」
「うん」
「もう一つ聞きたいことがある」
「何?」
私は深呼吸した。
そして、君を見る。
「もし、その好きな人が……君だったら?」
教室が静かになった。
君は驚いた顔をしている。
私は急に恥ずかしくなって、視線を落とした。
「……ごめん。困らせたよね」
しばらく沈黙が続いた。
やがて君が、少し照れたように笑った。
「昨日の相談、やっぱり変だと思ってた」
「え?」
「だって、その話をしてるとき、ずっと俺のこと見てたから」
「……気づいてたの?」
「うん」
顔が熱くなる。
「じゃあ……」
「俺も、どうすればいいか考えてた」
「どういうこと?」
君は少しだけ笑った。
「好きな人から相談されてるのに、本人に気づかれないように答えるのって、結構難しいよ」
私は目を見開いた。
「それって……」
「うん」
君は頷いた。
「俺も、君のことが好きだった」
胸の奥が、一気に熱くなった。
昨日まで私は、どうすればいいのか分からなかった。
好きな人に恋愛相談をして。
その好きな人から恋愛のアドバイスをもらって。
ますます好きになって。
どうすればいい。
本当に、どうすればいいと思っていた。
でも今は。
もう、相談する必要はなかった。
「……じゃあ、昨日の相談、意味なかったね」
「そんなことないよ」
「どうして?」
「君とたくさん話せたから」
君が笑う。
私も笑った。
恋愛の相談相手が、好きな人。
そんな困った状況だったけれど。
どうすればいいか分からなかった二人は、ようやく同じ答えを見つけた。
――好きな人には、ちゃんと気持ちを伝える。
それが一番だった。
コメント
1件
もうタイトルからして切実すぎて泣ける…!「どうすればいい」が二回も続くところに、主人公の苦しさが全部詰まってるわ。相談相手が好きな人って、そんなの相談しづらいし聞く方も気づいてるし…って最後の「気づいてたの?」「うん」の流れ、最高に好き。お互いに気付いてるのに探り合う甘酸っぱさがたまらんかった。64話もちゃんと刺さったわ。水曜さん、今日も天才🔥