まずはシェイプから!
無口なのに化け物並みに強くて、ツナギの上からでも分かる胸筋…どんな鍛え方をしてるのか聞く価値はありそうだ!
「し、シェイプ!」
「……」
相変わらず無口だなぁ…まぁいいか。俺は率直に彼へどんな鍛え方をしているのか聞いた。
しかし返答は無く首を傾げているだけ。そこまで考えなくても良いのに…優しいな。
と思いっていたら急にシェイプの持っていたナイフが俺に振り上げられた。
「え」
「っ!ちょ、ちょっと待ちなさい!!」
偶然通りかかったナースがシェイプを止めてくれて、俺は殺されずに済んだ。
そうだった、彼はゴスフェと同じで他者を無防備に出来るんだった!
そしてコイツはサバイバーの一人である『ローリー』って子の事しか考えていない。だから話が通じなかったんだ…。
「まったく…何してるのよ!」
「ご、ごめん…」
「彼は変わってるの。少しでも関わろうとしたら命取りよ。今回は私が通りかかったから良かったけど…次からは気をつけてちょうだいね?」
優しく頭を撫でられながらナースにそう言われた。子どもを心配する母親みたいだな…。
しばらく撫でられ続け、満足したのか彼女は上機嫌で部屋へと戻って行った。
「…あ」
シェイプはずっとそこにいた。俺とナースの会話をずっと聞いていたのか?
正直サバイバーが彼を怖がる理由が分かる。
こんなに筋肉質で目立つマスクもかぶっているのに、気配がないからどこで見られているのか分からない…常に怯えていないといけない状況だ。
「あの…」
考えていた矢先、シェイプは俺にジリジリと近づいてきた。
俺をまた無防備にして刺そうとするのか?と警戒していると、ついに背中が壁に当たってしまった。
逃げようとするが、俺の股の間に彼の脚が入れられ片足で持ち上げられてしまった。
「え、わわっ!な、なんだ!?俺何かしたか!?」
「……」
相変わらず何も話さずじっと俺を見てる。本当になんだ?話さないから余計に変な考えばかりしてしまう。聞こえてくるのは精々マスクから漏れる吐息くらい。お願いだからナース、もう一度戻って来てくれ〜!!ただどんな鍛え方をしてるのか聞きに来ただけなのにこんな事になるなんて聞いてねぇよ!(泣)
「……頭」
「え」
今、頭って言ったのか?俺の頭を捻り潰すのか!?
「撫でろ」
「……は?」
何を言ってるんだ?繋げて言ったら『頭を撫でろ』?それにしてもちゃんと話せるんだな…意外とイケボ…じゃなくて!どうしてコイツの頭を撫でなきゃいけねぇんだ!?
俺、シェイプに片足で身体持ち上げられてる状態でも恥ずかしいってのに…!!
「……」
無言でナイフを俺に向けて来た。こうなれば本能で察してしまう。
どうしてこんなことになったのか…俺、何か間違えたか?男が男の頭を撫でるなんて変なの。
若干の抵抗を見せながら、俺は仕方なくシェイプの頭…と言ってもマスク越しからだが撫でてやった。
しばらくすると、彼は何も言わず俺を降ろし、そそくさと何処かへ行ってしまった。
「し、死ぬかと思った…!!」
腰が抜けて暫くは立てそうに無いな…久しぶりに死と隣り合わせだったかもしれない。
もうシェイプに話しかける事は当分ない。俺は安堵の溜め息を零しながら、今日は部屋に籠った。
“次の日”
「……」
「………何でいるんだよ」
俺の部屋の目の前にシェイプがいた。それも、俺が儀式のために部屋の扉を開けるまでずっと立っていたらしい。
本当にコイツの行動はよく分からない。ヒルビリーより幼さが出ているかもな。
「頭」
撫でろと言いたいのか、わざわざ相手の方から俺の目線と合わせる様に腰を下ろして来た。
無性にイラつく。俺、別に背伸びしたらアンタの肩くらいまでは行くんですけど?
渋々頭を撫でると、彼はまた満足気に何処かへ行ってしまった。本当に変な奴。
「あ、やべ!遅れちまう!!」
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その頃、別の儀式に出ていたシェイプは、偶然ローリーと出会し、彼女を捕まえてずっと頭を撫でていた。
「(頭撫でられたら、気持ちよかった。ローリーも気持ちいいはず)」
「(な、何で私コイツに頭撫でられてんの!?お願い誰か助けて!!)」
シェイプは、ジョーイがナースに頭を撫でられているのが気になり、彼に頼み(脅し)込んでその気持ちを味わった。
その日から彼は毎日の様にジョーイの元へ訪れては、無言で腰を屈めて彼に頭を撫でられて儀式へ行くのが日課になっていた。
「ねぇねぇ、ジョーイ。最近シェイプと仲良いみたいだけどどうしたの?」
スージーが彼の隣に座りながらそう聞いた。
「別に仲良くなんてねぇよ。アイツが勝手に近寄って来てるだけだ!」
「ふぅん?それなら良いんだけど。変な勘違いは起こさないようにね〜。」
「分かってる。」
ジョーイは、次に話を聞きに行く相手を誰にしようか決めていた。その相手とは……?
コメント
1件
シェイプが…可愛いw