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「お礼?そんなのいいよ」
「え!で、でも怜治さんのプライベートの時間を削って、こんなに労力とガソリン代をかけてもらっているのに、僕が何も返さないなんて……!」
僕が必死になって身を乗り出すと、怜治さんはわざとらしく困ったような表情を作ってみせた。
「じゃあ、タクシーみたいに運賃料払える?こうやってわざわざ車を出して、学校まで迎えに来て、家まで安全に送り届けているわけだしさ」
「え?あっ、そ、そうですよね!あっ…でも僕バイトとかしてないので、お小遣いの中から支払う形になっちゃうんですけど……」
「へえ、さっちゃんのお小遣いって毎月いくらなの?」
「えっと、3000円です」
僕が恥ずかしながらも正直に金額を告げると、怜治さんはハンドルの上で指をポンポンと叩いた。
「さっちゃんを高校から家まで送ると、一般的なタクシー代に換算すれば、一回につき大体4000円丁度くらいかな?」
「ええっ!?じゃ、じゃあ、もう千円足りないですよね…バ、バイト急いで探すので、少しだけ待って欲しいです……っ!あっ、でも、もう送ってもらうの、今日で3回目ですよね……?」
僕はこんがらがる頭を必死に整理しようと、指を折って計算を始めた。
「4000円が3回だから……いっ、1万2000円?!」
「…うん。高校生のお小遣いじゃ、多分一括では払えないよね?」
怜治さんは意地悪く、でも楽しそうに目を細める。
「い、今からバイト探せばなんとか…っ!す、すみませんけど、できれば分割払いにしてもらえると助かります……っ!」
半泣きで本気で困り果てている僕の姿を見て、怜治さんはついに
耐えきれないとでもいうように声を上げて笑った。
「ふふっ…本当にさっちゃんって、素直で面白いね」
「へ…?」
「冗談に決まってるでしょ。高校生相手に、こんなカツアゲみたいな真似をするわけないじゃん?」
「まっ…また僕のこと、からかってたんですか!?」
「ごめんごめん、焦ってるさっちゃんの反応が可愛くて」
「も、もう!こっちは真剣なのに…」
僕はぷっと頬を膨らませてそっぽを向いた。
「はは、ごめんって」と、怜治さんは機嫌を取るように僕の頭を優しく撫でる。
その大きな手のひらの温もりに、やっぱり怒りは霧散してしまう。
「…それよりさ、お礼してくれるなら、今度二人でご飯食べに行かない?もちろん俺の奢りで」
「え、お礼なのに怜治さんの奢りって、それはお礼になっていないんじゃ…?」
「なるなる」
怜治さんは悪戯っぽく、楽しそうに片目でウインクしてきた。
黒星
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コメント
1件
あ〜これ、怜治さんの優しいからかい方が絶妙だな…さっちゃんがマジでタクシー代計算し始めるところ、純粋すぎてほっこりしたわ。「ご飯行こう」でオチをつける感じも良かった。17話、二人の距離が縮まるいい回だった🔥