「だーかーらー!今そんなことより世界の地球温暖化についてだなぁ、」
「まったく、君は現実的な話が好きなのかい?面白みもなんもないね!」
「なんだと、!」
いつも通りうるさい世界会議。今日は連合と枢軸は他の国より長く会議していた。しかし、数が少なくなったからと言って、話が進むわけもなくこの有り様だ。うんざりしているルートさんを横目で見ながら、自分は書類の文字数を数えながら時間を潰した。
「あーあもう帰りたいよ。こんな会議お兄さんもういや!」
「え〜、僕は好きだよ?賑やかだし」
「賑やかすぎある…頭キンキンするね…」
「……zZZ」
そんなまとまるはずのない世界会議。会議室にはアルフレッドとアーサーの討論だけで、半分以上時間を食っていた。
「もうアルなんて知らねぇ!」
しびれを切らしたのか、胸元から星型のステッキを取り出したアーサーは、ほあた☆とアルフレッドの方へ星のようなものを放った。
その放った星たちはアルフレッドの手によって跳ね返され、軌道を変えたそれは菊の方へ飛ばされた。
「え、」
菊を中心に会議室に煙が溢れた。突然のことに全員が驚きながら、とりあえず菊の安否だけを確認したいと思い声をかける。
「き、菊!?大丈夫か!?」
近くにいたルートが声を掛けるが無反応。
「キクー!返事してほしいんだぞー、!」
「わ、悪い俺のせいで…大丈夫か!?」
1番焦っているのはアルフレッドとアーサーだ。当然だろう。この2人のせいでこんな事になったのだから。菊に何かあったらたまったもじゃない。
煙が晴れ、黒く小さな影が浮き上がる。完全に見えるようになるや否か、目の前の人物に全員が目を丸くした。
「き、菊あるか、!?」
第一声に声をあげたのは王耀だ。それもそのはず。なんと煙が晴れた先にいた姿は小さい頃の本田菊だった。
背丈は随分小さくなっており、純粋無垢でまん丸な瞳。おもちのように白く、見ただけでモチモチしていそうなほっぺ。それに淡いピンクが薄がかっている。ぷるんとした唇はまるでさくらんぼだ。可愛い以外の言葉が出てこない見た目に、その場にいた全員が呆然とした。
「菊、おめぇ体はなんともねぇあるか!?」
その菊の姿に1番見慣れている耀はすぐさま彼の元に駆けつけた。肩に優しく手を置き、心配の言葉を投げかける。菊は耀の服の裾を掴み、口を開いた。
「に、にーに…?」
多分、いや絶対、この場にいた全員の心にその効果音は響き渡っただろう。その可愛いすぎる言動に全員が知性と言葉を失った。
「アーサー…君……とんでもない魔法が使えるようになったもんだね、」
「あぁ……俺も驚いてる。俺はこんなにも才能があったなんてな」
「今日限りはアーサー君に感謝するよ」
「俺も。初めてお前の魔法に感動した」
口々にアーサーの魔法に感謝を伝える国々。そんなことに見向きもせず、枢軸+耀は菊にベタベタだ。
「き、きく、へへ…もっかい…もう一回言ってくれある…にーにって……」
「に、にーに…どうされたのですか、?」
「あいやあぁぁ!!?可愛すぎるある!!辛いある!!2千年ぶりの菊からのにーに呼び最高あるぅ!!」
「にーに…いつにも増して気持ち悪いです…」
「うんうん。気持ち悪い人なんか放っておいて俺達と遊ぼーよ!美味しいご飯もあるよぉ?」
「馬鹿者…菊がそんな怪しい誘いを了承するわけ…」
「行きたいです!美味しいご飯!食べたいです!」
「了承した…」
フェリシアーノは耀から取り返した子菊を腕の中でよしよしした。それを他の国が見逃すハズもなく、すぐさま菊目当ての国達がフェリシアーノを取り囲むように視線を菊へ向けた。
「菊ちゃん?そんな自称お兄さんじゃなくて本物のとこに来ようよー?」
「フランシス君も自称だよね」
「公認ですぅ」
「あー、その……菊?、俺のとこに来てやってもいいんだぞ。別に俺がハグしたいとかそんなんじゃ…」
「……こんな人知らないです…」
「だよねぇ。俺も知らなーい!ささ、美味しいご飯食べに行こっか!」
菊を抱っこしながら会議室を出ていこうとするフェリシアーノを、取り囲む。これじゃもう不審者だ。
「フェリシアーノ君?そのまま菊君連れて出れると思ったの?それだったら随分おめでたい頭だね」
「こっちに渡すだけでいいんだぞ」
「いや俺のとこだ」
「いーやお兄さんのとこだね」
「おめぇら勝手ににーに面すんなある!!本物のにーには我ね!」
「ヴェ、ヴェ〜……怖いよ助けてルートぉ、!」
「はぁ、まったくお前は……。ほら菊をこっちに貸してみろ」
「え!?やだよ!今どさくさに紛れて菊奪おうとしたよね!?」
「む、バレたか…」
「お前が1番むっつりじゃねぇか!」
「このドS野郎!」
「仕方ないだろう、!その…可愛すぎるのだから、」
「なおさらなんだぞ!」
ギャンギャンと菊を取り合う為に騒ぐ全員の真ん中で、あまりのうるささに頭が痛くなったのだろうか。菊はうるうると泣き出してしまった
「ヴェ!?菊!?」
「すまない、騒がしくしすぎたな、」
「あいやー、泣いた菊もかわいいある!」
「君もう末期だね」
「元からだろ」
「まぁ泣き顔がかわいいのは同感だけどな!」
「も〜、皆菊くんが可哀想だよ。こういう時は慰めてあげるのが1番だよね!」
「お兄さんが慰めてあげる〜。ささ、菊ちゃんをこっちに…」
「「「「「「絶対駄目」」だ」」ある」だね」
ガーンとしているフランシスを無視して、菊はフェリシアーノから、唯一この中で顔を知っている耀のとこに乗り移った。
「にーに怖いです……早く家に帰りましょう…パンダ見たいです」
「あいや~♡そうあるな、そうあるな♡とっとと帰ってパンダのコスプ……じゃなくて、パンダ見るある!」
「いやバレバレなんだぞ」
「菊にそんなことさせないでよぉ!」
「あーこれが負け犬の遠吠えあるか〜(笑)菊は我を選んだね!口答えすんなよろし!」
「うわ性格悪ぅ〜」
「たまたまなのにねぇ」
「そこうるせーある!」
またまた耀、アーサー、アメリカ、フェリシアーノ、ルートが言い合いが始まる中、イヴァンとフランシスは、じりじりと菊に近づいていた。
「菊君、僕のとこに来ない?きっと楽しいと思うよ!一緒になるの。良いと思わない?」
「ここまで来て南下始めないでくれるかな〜?こんな物騒な奴より爽やかお兄さんの方がいいと思うんだけど」
「菊君こそ変態と一緒は嫌なんじゃないかなぁ?」
「お兄さんは変態じゃないですぅ」
なんで彼らはこうも毎回言い争いに発展するのだろう。小さい菊でも、面倒くさいという感情が生まれ呆れ顔に変わる。
その影に、奴は近づいていた。
「きーく」
小さい体をホールドするように後ろから抱きついてきたのはアーサー・カークランドだ。言葉に熱が籠もっているはずなのに、菊の顔は真っ青だった。
「こうでもしないと、俺とハグしてくれないだろ?てか随分ちっちゃくなったなお前。」
この男…しゅんっと子犬のような顔をしているが、目だけは完全に雄の目だ。恐怖すら覚えるその行動に鳥肌が立つ。
「は、離してくださ、」
「ん?」
「……いえ」
圧がすごい。
そこから魔法の効果が消える2時間。皆に振り回される子菊だった。
コメント
4件
すきすぎる 2Pになっちゃった時とかも見てみたいツツ!!!
子菊様みたかったぁぁあ😭 タイプスリップして弥生ぐらいに 行こうかしら(((
さ、最高!子菊私も見たかった、