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言葉を閉ざすティア 「ティアいつも楽しいお話をしてくれてありがとう、でもあなたには幻聴が聞こえるのよね?あなたにしか聞こえない声がなんて言っているのかわたしに話してくれない?あなたの精神疾患を治療するのにとても大切な情報なの」ミリアがそう言ったとたんティアの心は凍りつきました。ずっと耳をふさぐように行動で逃げてきたのだから言えるわけがありません。「ティア?」急にティアは黙ってしまいました。行動しながらも人間を保ち続けるのは大変なことでした。何度も行動をやめようと思いました。だけどここまでやめられずに来てしまったのです。ティアはうつむいて黙ってしまいました。「嫌なことを聞いてごめんなさい、だけど幻聴の内容がわからないとあなたが何にそんなに傷ついているのかわからなくて、もう行動でごまかすのはやめて、あなたの見境のない行動は自分も他人も傷つけているわ、あなたの幻聴とわたしが話をしてみるから教えて?」ミリアがどんなに聞いてもティアは黙っていました。まるで子供の頃の症状に戻ってしまったように。大人になってからは自然になら話せるようになっていたのに。
長い沈黙。「ごめんなさい、今日はここまでにするわ」ミリアがそう言ったのでティアは逃げるように診察室をあとにしました。
ミリアはティアが行動によって幻聴を紛らわすとどんな状態になるか知っていました。暴れている時のティアは別人のようでした。だから今はどのような状態になっても驚きません。しかしティアがどうしてそんな状態になるのかを知らない人にはティアは言葉が理解できないと思われてしまうでしょう。そうまでしてなぜティアは言葉を閉ざすのでしょうか?