テラーノベル
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夜が明けて間もない神殿の私室。
窓の隙間から差し込むかすかな朝焼けの光が、荒れ果てたベッドの上を静かに照らし出していた。
「……ふぅ……」
ウルフはゆっくりと左の赤目を開け、低い息を吐き出した。
昨夜の「夜這い」から始まった激しい愛撫と、己の発情に任せた狼の本能。
正気に戻った頭で乱れたベッドを見渡すと、そこにはあまりにも凄惨な光景が広がっていた。
自分の腕の中に埋もれるようにして、すやすやと泥のように眠るMowl。
胸の黄色いリボンは解かれ、茶色のマントは床に落ち、あれほど綺麗に整えられていた黒ハチワレの毛並みは、ウルフの唾液と汗、そして体液によってカピカピに固まり、見る影もなくボサボサに逆立っている。
愛用のモノクルはベッドの端で哀れに歪んでいた。
「……チッ。ちっとやりすぎたか……」
ウルフは頭をガリガリと掻くと、気まずそうに鼻を鳴らした。
孤高の狼としてのプライドがあるため、「すまなかった」などという言葉を口に出す気は毛頭ない。
だが、自分の腕の中で「……くぅ……ふぅ……」と無防備に小さく息を吐き、疲労困憊で眠りこける猫紳士の姿に、胸の奥が微かに痛んだ。
ウルフはそっと身を起こすと、Mowlの華奢な身体を抱き寄せ、そのボサボサになった頭部へと自分の顔を近づけた。
ペロ……ッ。
ウルフの大きな舌が、Mowlの黒ハチワレの頭頂部を優しく撫で上げる。
「……ん……うぅ……?」
頭に伝わる温かさに、Mowlの倒れた猫耳が「ピクッ」と跳ねた。
しかし、連日の激しい行為で体力を削り取られたMowlは、目を覚ますことすらできず、小さく身悶えするだけだった。
ウルフは柄にもなく丁寧な手つきで、己のざらついた舌を使い、Mowlの乱れた毛並みを一本一本ほぐすように舐め始める。
ペロ……ペロリ……ッ。
昨夜、己の欲望のままにドロドロに汚した首筋。
牙で噛み痕を刻み込んだ無防備な喉元。
ウルフのフェロモンが染み付いた胸元の白い毛並み。
ザラザラとした大きな舌が通るたび、固まっていた毛並みが柔らかく解かれ、元通りの美しい黒と白の毛並みへと整えられていく。
それは、滅多にない野生の狼の「毛繕い返し(グルーミング)」であった。
「……んッ……あ……ウルフ……殿……?」
喉元を優しく舐め上げられた刺激で、Mowlの目が、かろうじて薄く開いた。
視界の端に映るのは、朝の光を背に受け、至近距離で自分を真剣な目つきで見つめながら、せっせと頭や首筋を舐めてくれているウルフの顔だった。
「……起きたか、猫殿」
「あ……ウルフ殿……? 私めの毛並みを……舐めておられるのですか……っ?」
Mowlはハチワレ顔をポカンと呆けさせ、寝ぼけた頭でウルフの動作を見上げた。
いつもなら粗暴に押し倒し、服を引き裂いて自分を弄んでくる狼が、今は驚くほど穏やかな顔つきで、自分のボサボサの毛を整えてくれている。
「昨夜……お前が不甲斐なく潰れたからだ。こんなボサボサの姿で歩かれたら、俺の面目に関わるだろ」
不器用な言い訳。
だが、その舌の動きはどこまでも優しく、愛おしさに満ちていた。
Mowlの首筋から耳の裏へ。
ウルフが丁寧に舌を滑らせるたび、体温がじわじわとMowlの身体へと染み渡っていく。
「あ……んっ……ふふ……っ」
Mowlのハチワレ顔から、フッと緊張が抜け落ちた。
昨夜の激しい交尾の不満も、紳士としてのプライドも、ウルフのこの不器用で温かい愛撫の前に、すべて溶けていく。
Mowlは自らウルフの大きな顎の下へと頭を「すり……すり……」と寄せた。
「……下手くそな毛繕いにございますね……ウルフ殿」
「あ? 言ってくれるじゃねえか。やめてやろうか?」
「……いえ。……もう少しだけ、続けてくださいませ……」
Mowlは目を心地よさそうに細めると、ウルフの太い腕の隙間にすっぽりと身体を埋め直した。
胸の奥から、朝の静けさに溶け込むような、小さく優しい喉鳴りが漏れ出す。
……ゴロゴロ……
「ふん……調子のいい猫だ」
ウルフは満足げに目を細めると、Mowlの身体を優しく包み込み、再びその頭部を「ペロ……ペロ……」と優しく舐め続けた。
朝日が差し込む私室の中。
二匹の獣は互いの体温を分け合いながら、静かで甘い二度寝のひとときへと、ゆっくりと落ちていくのだった。
#fosaken
ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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コメント
2件
一気見しましたがニヤケすぎて口角が止まりません。色々シチュエーションを考えられるのが凄いです!これからの小説も読ませて頂きます!m(*_ _)m