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◆アレン視点
「うぅ……あれ? 僕まだ生きてるの?」
僕は身体を起こして辺りを見渡した。地面には大きな石や小さな石が沢山転がっており、目の前には大きくて綺麗な川が流れていた。遠目では見たことの無い立派な建物が沢山並んでいる。あんな建造物は見た事が無い……
「え……夢か? 痛てっ!?」
僕は自分の頬をツネって見ると痛みを感じた。だがここで身体にいくつか違和感を感じる。今、自分の口から発せられた声が、自分の声では無い気がしたのだ。それに触った頬は、赤ちゃん肌の様にツルツルしてモチモチしている。僕の肌はこんな触り心地は良くなかった筈なのだが……
―――僕は自分の身体を見た時に思考が停止しかけた。
(ふぁっ!? 纏っているボロボロの布はいつも僕が着ていた服だけど、僕こんなに肌白く無いぞ!? しかも身長縮んだ? どうなってるんだ? しかも、何だこの長い綺麗な金髪の髪は!? こ、これが僕の髪の毛?)
僕は自分の顔や身体をあちこち触って見るが、触れば触る程驚く事が沢山あった。まず、耳が長い! これは明らかに人間の耳じゃない! でも、耳が長い種族なら僕は知ってるけど、僕は昔から貧民街育ちの人間だぞ? エルフではありません。
僕は自分の身体を念入りに触って確認していたのだが、ここで僕は新たなショッキングな出来事に対面するのであった。
「嘘やろ……僕のお〇ん〇ん何処行ったんだ!?」
これは一体……どういう事何だ?
(でも、痛覚や感覚があるから夢とは思えない……しかも、性別も変わってるし……どゆこと?)
僕の脳は未だに混乱していた。だが、その前に一つ……
「お腹空いた……喉乾いたよぉ」
僕はその場を立ち、水を飲もうと川の方へと歩き始める。足元の石がゴツゴツとしていて凄く痛い。泣きそう。
そしてアレンが川へと歩き始めたその時、1匹の野犬が現れた。
「ワンッ!! ワンッ!!」
「な、何だこいつは!? ウ、ウルフかっ……!?」
「グルルルッ……」
「ヒィッ!? 僕は美味しく無いぞ!? あ、あっち行け!」
僕は魔物らしきものに落ちていた石を投げるが、身体が小さくなってしまったせいか全然力が出なかった。石は魔物の目の前に落ちて、逆に怒らせてしまったようだ。
「ガルル……ワンッ! ワンッ!!」
「うぅっ……ぐすんっ……怖いよぉ……来ないでぇ」
魔物らしき生物が僕の目の前にゆっくりと迫って来ていた。そして僕は後方へと目に涙を浮かべながら後ずさった。身体が小さくなったせいなのか、精神が非常に不安定である。自分の気持ちを抑制する事が出来ない。
「キャッ!?」
僕はいつの間にか川の深みへと足を滑らせてしまい、そのまま川に流されてしまった。思いの他水は深くて、僕は手を水中でバシャバシャとしてもがき足掻いていた。
「た、助けて! 誰かっ!? 誰かぁああああ……!!」
次第に僕の意識は落ちて行った。
◆|楓《かえで》視点
「あっ! お姉ちゃん! 目を覚ましたよ!」
「あぁ、良かったわ……けど、この子……」
私はあれから川で溺れかけていた幼い女の子を葵ちゃんと一緒に助けて、現在我が家のリビングのソファに暖かい毛布を掛けて寝かせております。
「お姉ちゃん……この子、耳長いよね……触ると本物みたいだし」
「そうだね。色々と気になる事は沢山あるけど、その前にお嬢ちゃんのお名前は何て言うのかな? パパとママは?」
「ーーーーー?」
「ん? もしかして、言葉通じない? 葵ちゃんどうしよう、英語は話せないよ……」
「私も英語は苦手だな……でも、本当に英語なのかな? 聞いた事の無いようなニュアンスだったけど」
私と葵ちゃんは頭を悩ませていました。私達が話し掛けると幼い女の子は、肩を震わせながら物凄く怯えていました。私も葵ちゃんも大丈夫だよ~と笑顔を浮かべながら話し掛けるのですが結果は同じです。
「あらあら、困ったね」
「私達は怖くないでちゅよ〜♪」
「――――――!?」
「そんなに怯えなても大丈夫だからね♪」
葵ちゃんと一緒にニコニコしながら話し掛けていると幼い女の子は、少し安心したのか震えが収まりました。
「―――――――――?」
「うふふ♡」
「ちょっとお姉ちゃん……涎出てるから。はしたないよ?」
「あらあら〜私とした事が♪」
この子が可愛すぎて無意識の内に涎が出ちゃったわ。私の中の何かが目覚めそう。可愛いしゅぎるよぉ♡ ムギュっと優しく抱きしめてあげたい♡ 沢山愛でてこの子をお世話したいわね♡
「お姉ちゃん……」
「あら♪ 葵ちゃんも人の事言えないね〜♪ 私もさっきから我慢してるんだから」
そして楓と葵は口を揃えてこう言った。
「「か、かっ……! 可愛いっ!!!!!」」
本物の天使を見た事がありませんけど、きっとこの子のように愛らしい見た目をしているのでしょうね♪
◆アレン視点
「うぅっ……ここは何処だ? ふぁっ!?」
僕は目を覚まして辺りを見渡した。見知らぬ部屋に美人なお姉さんが2人、こちらをじーっと見つめていました。何やら騒いでる様子です。
「・・・・・・・!?」
「・・・・・・・・・・・・・・!!」
え、何て言ってるんだろ。怖い……魔物に襲われて、それから川に落ちた所までは覚えているけど、あれ? そこから先の記憶が無い。もしや、ここは天国なのか!? この美人なお姉さん達は天使?
僕はお姉さん2人と周りに置かれている高そうな家具をじっくり観察した。どうやら、僕はまだ死んで居ないみたいです。と言うか何が何だかさっぱりだ……
(天国では無いと言う事は、ここは貴族の家なのかな? お姉さん達の服、高そうな生地で出来てそうだし……こんな凄い綺麗な部屋に高そうな物が沢山……それに僕に掛けられているこの布は……はっ!? もしや、危険指定ランクB級のキリングベアの毛皮なのでは!? まじかよ……高級品じゃないか……※ただの毛布です)
「・・・・・・・!」
「や、やばい。ここで、無礼な事したら、僕は即刻打首だ」
「・・・・・・・?」
「ご、ごめんなさい! 僕は悪気は無かったのです! どうか、どうか打首だけはご勘弁を!!」
僕は全力で頭を下げて、華麗な土下座をキメました。僕は土下座することに関しては、長いスラム生活での経験で鍛え上げられていたので得意なのだ!
「え?」
「・・・・・・・!!」
何故かお姉さん2人が、涙を浮かべながら僕の身体を優しく抱いてくれました。よく分からないけど、どうやら打首は免れたようで何よりだ。しかし、この2人……胸がデカすぎる! 何を食べたらこんな大きくなるのだ!?
「ぐぬぬ……苦しい……でも、暖かくて柔らかい……」
「・・・・・・・・・・・・・!!」
僕は2人のお姉さんに抱き着かれて、身動きは全く取れませんでしたけど不思議と嫌ではありませんでした。
そしてお姉さん達に頭を撫で撫でされたり、涙を吹いてくれたりと色々と愛でられてしまいました。そして、僕のお腹も限界だったらしく、盛大に腹の虫を鳴らすとお姉さん達はクスクスと笑っていました。
◆|楓《かえで》視点
「お姉ちゃん、この子もしかしたら虐待受けて居たんじゃないかな? こんな風に酷く怯えるなんて、普通じゃないよ」
「何て言う事を……こんな小さな子に……」
私は再び幼い金髪の女の子に優しく声を掛けましたが、何と目に涙を浮かべながら土下座をするのです! そんな光景を見てしまうと胸の奥が締め付けられる様に苦しい……
「えっ!? どうしたの!?」
「お、お姉ちゃん。多分いつも殴られて居るから、土下座をする習慣が身についているんじゃ?」
「こんな幼い女の子に暴力する何て……酷い」
2人は勝手にイメージを膨らませて行き、あらぬ方向へと勘違いをして行くのであった。そして小さな女の子は顔を赤らめて恥ずかしそうにして、盛大にお腹の虫を鳴らした。
「ふふっ……お腹空いちゃったのね。葵ちゃん、買っておいたクリームパン戸棚に無かったかしら?」
「あるよ! ちょっと取って来るね!」
葵が戸棚から108円のクリームパンを棚から持って来て、袋を開けて幼い女の子に渡しました。
「凄く驚いてるね、108円のクリームパンでここまで驚いたリアクションする子初めて見たよ」
「それくらい酷い環境で育ったのかもしれないわね。さあ、気にしないで食べてね♪」
幼い女の子はおずおずと恐れるようにして、クリームパンを受け取って小さなお口でパクりと一口食べました。
それから幼い女の子は、信じられない物をみたような表情を浮かべてパクパクとクリームパンを口の中に頬張りました。
「あらあら、凄い食べっぷりね~♪」
「クスクス……そんなに急いで食べなくても逃げないのにね。ゆっくり食べてね♪ お姉ちゃん、晩御飯食べる前に私この子お風呂入れて来ようと思うのだけど」
「えぇっ!? ずるい! お姉ちゃんもこの子と一緒にお風呂入りたい! 何なら3人で入りましょ!」
「分かった、分かったから落ち着いて! じゃあ、今日は私が晩御飯の準備するから、お姉ちゃんこの子をお風呂に入れてあげて」
「うふふっ……念入りに洗って上げますからね~♪」
葵ちゃんはやれやれと肩をすくめて、台所の方へと向かいました。私はこの可愛い天使ちゃん……名前が分からないので暫定的にですが、可愛い天使ちゃんとお風呂に入る準備をしようと思います! うふふ♡ めちゃくちゃ楽しみです♪
「よしよし♪」
「――――――!?」
「そんなに怯えなくても大丈夫だよ〜うふふ♡ 私はお風呂の準備して来るから、ゆっくり食べて待っててね♡」
楓はルンルン気分で嬉しそうにお風呂の準備をするのであった。